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●気圧の変化と体調不良

「慢性痛が天気の崩れで悪化することは以前より知られており,疼痛治療の臨床において重要な問題である。筆者は,気象要素(気圧,気温)による慢性痛悪化のメカニズム研究により,日常体験する程度の軽微な気圧変化あるいは低温への曝露が慢性痛モデル動物の痛み行動を増強し,慢性痛有訴者の症状を再現することを実証してきた。

また,気圧変化による痛みの増強には内耳の気圧感受メカニズムが関与することを明らかにし,温度変化による痛みの増強には皮膚の温度受容線維の反応性の変化が原因である可能性を示した。

また慢性痛有訴者の一部では気圧や気温の変化に対して自律神経系が過剰に反応することがあり,それが症状悪化のもう 1 つの原因であることを示唆した。」


●原因

■疼痛部位や後根神経節に発現する「交感神経?痛覚線維の異常連絡」

気圧低下に対する自律神経系の応答について調べたところ、自由行動下の健常ラットの血圧と心拍数は低温環境でも低気圧環境でも増加し,交感神経末端から分泌されるノルアドレナリンの血中値も上昇した。

気圧低下による慢性痛の増強は後肢に分布する両側の腰部交感神経幹を外科的に摘出したラットでは消失したことから,メカニズムには交感神経興奮が深く関係しているこを示唆している。

■内耳前庭部の感受性が高い

身体が気圧の変化を検出するセンサーは内耳(前庭器官)に存在する可能性が高い。

天気痛有訴者は、天気の影響を受けない慢性痛有訴者や健康な被験者に比べ、弱い電流値の内耳電気刺激でめまい感覚を得る。この結果は【天気痛有訴者の内耳前庭が健康者よりも感受性が高いことを示している。】

気象病有訴者の内耳前庭部が気圧変化に対してより敏感であるために天気の崩れに伴う微少な気圧の揺れがセンサーを刺激して,慢性痛などの症状を悪化させている可能性がある。

また同じ慢性痛を患う場合でも,天気(特に気圧変化)の影響を受けない被験者においては,内耳の感受性に健康被験者と有意な違いがみられなかったことから,内耳の感受性が高いのは慢性痛に共通するものではないこともわかった。

もしこの仮説が正しければ,内耳前庭部の感受性をコントロール(抑制)できる方法とそれを可能にする装置を開発することで,気象病の予防あるいは治療が可能になるものと思われる。

【気圧変化は内耳前庭部で受容されたのち,自律神経反応を引き起こすことがわかっている。】

慢性痛が自律神経(特に交感神経)とリンクしていることはこれまでの多くの研究により明らかとなっていることから、気象病有訴者でみられたこのような自律神経反応の特異性が気象病メカニズムに重要なものである可能性がある。

『気象変化と痛み Weather Changes and Pain』佐藤純


●出来る事

現時点では内耳前庭部の感受性を抑制出来る直接的な方法(装置)はないと思われるので、

・栄養状態を良くする事
・ストレスの軽減
・生活リズムを整える

・斜角筋、胸鎖乳突筋、舌骨下筋群、後頭下筋群、側頭筋、咬筋、翼突筋、後頭筋、前頭筋、僧帽筋上部を緩める。※首から下もバランス悪いと超困りますが。

・温水、冷水の水治療法
・冷却パックで頭が痛む側の耳の前のある動脈を押すと軽減される場合がある。

など出来るところからアプローチしてみても良いかもしれません。

参考『頭痛、頸部痛のためのマッサージセラピストガイド』サンディ・フリッツ、レオン・チャイトー