ビタミンAとは:
ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種です。ビタミンAはレチノール(ビタミンA前駆体)とレチノイド(ベータカロテンなどのカロテノイド類、プロビタミンAカロテノイド、レチノイン酸)の二つのフォームで存在しています。ベータカロテンはビタミンAの前駆体で腸や肝臓 腎臓で形成され緑黄色野菜に、ビタミンAは肝油 卵黄 肝臓 乳製品など動物性食品に多く含まれています。
またレチノールには二種類あり、海水魚に含まれるのがビタミンA1(レチノール)、鰻などの淡水魚に含まれるのがビタミンA2(ジヒドロレチノール)です。ヒトが必要とするのは主にビタミンA1の方で、ビタミンA2は二重結合していおり、その生物活性は1/3程度でしかありません。
研究結果:
ビタミンAは光受容体の色素の合成、,皮膚、粘膜の保護、歯や骨の成長、再生能力の正常化、抗酸化作用、抗がん、抗アテローム性動脈硬化症、良好な視力(特に夜間視力)を保つのに必要なロドプシンの形成に必要とされています。またビタミンAは膜組織、内膜、細胞、皮膚、目の感染症の予防にも役に立つと言われています。
欠乏症になった場合:
ビタミンAが欠乏した場合は夜間視力の低下、 乾燥肌や肌荒れ、夜盲症、上皮細胞の形態変化、感染症予防;
肌荒れ、泌尿、生殖器の感染症予防、骨の成長傷害(アフリカンアメリカンやヒスパニックの人々に骨の疾患へのリスクが高いといわれています)、歯のエナメル質の欠如、結膜の乾燥、妊娠中女性の胎児の成長欠如、角膜の曇りなどが挙げられます。
どのくらい摂取するか、副作用は
先天性欠損症(心室中隔欠損症、ダウン症候群など) 肝臓異常 骨粗しょう症に至る骨のミネラル密度の減少1日あたりの推奨摂取量は男性で5000 IU (1.5mg)、女性で4000
IUとされています。ビタミンAの摂取量の上限は 50,000 IU、ベータカロテンの最適な摂取量は17,500
IUとされています。ベータカロテンは大量に摂ったとしても体が必要な分だけビタミンAに変換するので毒性はないとされています。
薬との相互作用としてはフェニトイン(抗てんかん薬、けいれん抑制薬)や経口抗凝血剤の効力を低下させるとしています。
●ビタミンA(レチノール)
ビタミンAはレチノールと同様の生理作用を持つ天然化合物の総称、レチノイドはレチノイン酸と同様な作用を持つ化合物の総称である。
ビタミンAにはA1系とA2系が存在し、A1は海産魚、陸棲動物の肝臓、うなぎの筋肉などに、A2は淡水魚の肝臓に存在する。A1の名称は網膜のretinaにちなんでレチノール(ROL)、レチナール(RAL)、レチノイン酸(RA)、A2系は3-デヒドロを冠して、3-デヒドロレチノールのように呼ぶ。
・消化吸収
ビタミンAの主な供給源は植物由来のプロビタミンAと、動物性食品に含まれるROLの脂肪酸エステル(RE)である。
REは遊離ROLに加水分解されて小腸上皮細胞内で、ミクロソームのアセチルCoAレチノールアシルトランスフェラーゼ(ARAT)とレシチンレチノールアシルトランスフェラーゼ(LRAT)により再びエステル化され、キロミクロンの構成成分としてリンパ管を経て血中に送り込まれる。
キロミクロンは血中でトリアシルグリセロールを遊離して、キロミクロンレムナントとなり、一部骨髄や脾臓などの細胞によりLDL受容体を介して取り込まれるが、ほとんどは肝臓の実質細胞に取り込まれる。ここで、REはROLに水解され、ついでサテライト細胞(=脂肪貯蔵細胞(fat
storing
cell))に移行し、再再度REとなり、油滴中に貯蔵される。肝臓がビタミンAを多く含む食品であるのはこの理由による。
βカロテンは小腸上皮細胞内で、15、15´-ジオキシゲナーゼにより1分子の酸素が添加されて開裂を受け、RALを経て、ROLに還元される。これは中央開裂経路(Central
cleavage)と呼ばれる。
・生理作用
ビタミンAの生理作用は成長、視覚、皮膚、粘膜上皮の正常維持、糖タンパク質、糖脂質生合成、生殖、形態形成、発がん予防、制がん作用など多彩である。
制がん作用や、急性前骨髄性白血病の治療にレチノイン酸に著効があることが示され、その機構も解明されている。しかし、レチノイン酸の毒性はきわめて強く、催奇性のある心配があるので、特に妊婦あるいは妊娠の可能性のある女性への投与は不可とされる。レチノールも過剰障害が知られており、欠乏と同様に栄養摂取に気をつけたい。