トレーニングとリズム
リズムは音楽療法の領域で最も作用力の大きい要素と言っても過言ではない。
音楽のリズムには前進性、流動性がある。一方、人間の生命にもサーカディアンリズムをはじめ、呼吸や心拍、脈拍などの生物リズムがあり、それらが音楽のリズムと同じ時間軸上でシンクロナイズして、音楽療法効果をあげやすいのだと考えられる。
中略
リズムを司るのは脳の知的能力にかかわる高次機能ではなくて、むしろ本能的な情動レベルにかかわる機能であろう。催眠に誘導する音楽の構成要素としても、また逆に身体運動を引き出す音楽の構成要素としても、リズムは重要な作用要因となっている。
中略
音楽療法の生理学的治療理論では、ホメオスタシスに着目し、音楽の刺激的機能と沈静的機能を健康維持に役立てようとする。つまり、バランスを安定させるために、イライラしているときには沈静的音楽の機能を活用し、気分が沈みがちな時には活性的音楽の機能を活用して、ホメオスタシスが良好に保てるように方向付けのである。
『運動とストレス科学』より