STRATEGIC TRAINING SYSTEM

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静的ストレッチング(スタティックストレッチング)

静的ストレッチングはもっとも一般的に行われているストレッチ法でしょう。静的ストレッチングには二つの方法があります。

ひとつは静的−アクティブ・ストレッチ法で対象となる部位を徐々に伸ばしていき、心地よいほどの痛みを感じるところで20〜60秒保持します。

もうひとつは静的−パッスィブ・ストレッチ法で言葉どおりパートナーに対象となる部位を徐々に伸ばしてもらい心地よいほどの痛みを感じるところで20〜60秒保持します。

通常静的ストレッチでは反動を使って一気に伸ばしたりしてはいけないのですが徐々にリズミカルに伸ばしていくことで神経システムがその動作に適応し、より広い稼動域でストレッチを行うことが可能となります。

動的ストレッチング(ダイナミックストレッチング)

ダイナミック・ストレッチングは特定の範囲で腕や脚を動かして行うストレッチの方法です。ダイナミックストレッチングにはいくつかのパターンがあるのですが、そのすべてにおいて安全に行うためにポイントがあります。

狭い可動範囲でストレッチを行い、徐々にその振幅を広げていく。

最終的に振幅を自分が行える可動範囲まで広げていく。

可動域が限界に近づいてきたらその一歩手前で抑えておく。

たとえば、ハムストリングスの動的ストレッチングに脚を前に蹴りだす(スウィングさせていく)というのがあります。この場合、徐々に可動域(振幅)を広げて自分が行える可動範囲の一歩手前まで行っていきます。

行える可動範囲の限界を超えて動的ストレッチングを行うと怪我をする危険性もありますし、伸張反射(ストレッチ・リフレックス)といって逆に筋肉が伸ばされすぎた反動で収縮し逆に筋が緊張した状態になってしまいます。(伸張反射とは本来筋肉や腱が伸ばされすぎて切れないようにするための防衛的な反応です。)

動的ストレッチを行う際には徐々に可動域を広げていくという点、そして最大可動範囲の一歩手前で抑えておくという点を守って行いましょう。


PNF(固有受容性感覚器神経筋促通法)

PNFはハーマン・カバト博士によって発見され、理学療法士であるドロシー・ヴォスとマーガレット・ノットによって”固有受容体を刺激することによって神経筋の応答性を促進させる方法”として定義されました。

今ではダイナミック、ローテーショナル、アングラー・ムーヴメントなどさまざまなPNFの方法が行われていますが本家のPNFは訓練された理学療法士やその他の専門化によって施術される必要があります。


収縮−弛緩法(CR法、コントラクト−リラックス法)

CR法はしばしばPNFとして扱われているようですが本来のPNFとCR法は区別する必要があるので
ここではCR法として説明したいと思います。

CR法は通常パートナーと一緒に行います。行い方としてはこれは対象となる筋肉をアイソメトリクスで収縮させ(パートナーに抵抗をかけてもらう)、その反動で伸ばしていくという方法です。これを行うことによって伸張反射を抑制することができ可動域をさらに広げることが可能となります。

CR法はとりわけウォームアップの終盤に行うことが効果的です。メリットとしては筋の出力を発揮することによって体温を上昇させるため非常に効果的な準備体操となる。CR法でウォームアップを行うことで今までより広い可動域でなおかつその新しく得た可動域はCR法によって強化されるという点が挙げられます。

また新しく獲得した可動域は収縮という行為を経験していないため、CR法のような方法で事前に新たな可動域を準備のできた「使える」状態にしておくことができます。

CR法は高血圧の症状をもっている人々にとっては気をつける必要があります。ノーステキサス大学のウィリアム・コーネリアス博士が行った研究によると股関節屈筋に対して3度のCR法を行った際最高血圧が20mm/Hg、最低血圧が13mm/Hg上昇しました。

またジェンセンが行った研究では3セットCR法を行った場合において、最初のCRは可動域を広げましたが、そのあとの2セットはさらにそこから可動域が広がることはなかったといいます。このことからCRを行う際には可動域が広がっているか毎セット計測し、可動域の高原状態(プラトー)になっている場合はそれ以上行う必要がない、行わないほうが良いということを示唆しています。


拮抗筋収縮−弛緩法(CA法、コントラクト−アンタゴニスト・リラックス法)

これは対象筋の反対側にある筋肉(拮抗筋)をアイソメトリクスで収縮させ、その反動で対象筋を伸ばしていくという方法でCR法と類似しています。

拮抗筋をアイソメトリクスで収縮させると拮抗筋は一時的に疲労し、対象筋が伸ばされていく際に通常より反発が弱くなります。この方法はCR法に類似しているためCR法同様に高血圧の場合、可動域のプラトーに関しては考慮する必要があるでしょう


筋膜ストレッチング(筋膜リリース法、ロルフィング、深部組織マッサージ)

筋膜とは筋肉や骨、内臓器官、血管などの身体の構成要素を包み込む伸縮性にとんだ網目状(くもの巣状)の組織で、これらの組織、器官をくもの巣が張るように包み込み、それぞれが適正な場所に位置するように支える役目があります。

ストレス下において筋膜は状況に適応し、くっついたり、縮んだりしてそのストレスに適応しようとするのですが、その状態が長く続くと筋膜が、くっついたり、縮んだりした状態でとどまってしまい、動きを制限したり、からだのバランスを悪くしてしまう可能性があります。

筋膜リリースはその縮んだ筋膜を正常な状態に戻すためのアプローチです。

筋膜を正常な位置に戻すことにより、からだはバランスを取り戻し、正常な機能を取り戻すことができ、
これによりストレスなどによる可動域制限などがなくなり、可動域をさらに広げることができる可能性があります。筋膜リリースに関しては比較的新しく、今後さらなる発展が期待できるといわれています。


ストレッチから見えるトレーニングの行い方

輪ゴムやチューブをイメージしてみてください。硬化したチューブをいきなり引っ張ったらちぎれますよね。
またチューブは伸ばされればその反動で縮みますし、縮めればその勢いで伸ばすことができます。

これは筋肉でも同じことが言えます。トレーニングにおいて温まっていない状態でいきなり筋肉を可動範囲以上に伸ばすようなことをすると筋肉がちぎれてしまう可能性がありますし、適度にストレッチされれば筋は収縮しやすくなります。

また収縮させていく上でそのスピードが速ければ強い収縮ができますし、あげていく動作においてゆっくり行ってしまうとせっかくの伸張が活きてきません。これを考えていくと基本的なトレーニングを行う際に必要なトレーニングのテンポというのが見えてきますよね。


 
 
 
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