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柔軟性の関与する因子

柔軟性を左右する因子は複数にあり、年齢差、男女差、過去の疾患、障害、筋力のレベル、体温、気分、ストレスレベル、個人の性格などによっても微妙に影響を受けるといわれています。また骨格レベルにおいて、骨格そのもの、関節、靭帯、腱の形、関節にかかる腱の形の違い、過去の障害、手術歴、関節周辺にある筋肉量、関節周辺にある脂肪量などによっても柔軟性は左右されます。

上で述べたうち後天的な因子を改善させることによって柔軟性を向上させることは可能ですが、腱や関節の形、長さなどは変えることができません。このことを把握した上で柔軟性について考えていきましょう。(幼少期に新体操やダンス、水泳などのスポーツを行うことによって骨格などにおいての柔軟性を向上させることは可能だといわれています。)


柔軟性の欠如と怪我の可能性

長時間にわたって可動域を制限した動作を続けていると筋肉が短縮した状態を作り出し、柔軟性を低下させます。

自転車に長時間乗り続けるなどが例に挙げられますね。この状態を続けていると股関節(腰筋、腸骨筋)の筋が固まり、腰部の正常な湾曲が保てなくなり、脊柱の衝撃吸収能力が低下を招きます。この状態になると事あるごとに衝撃は関節にかかり慢性、急性に関わらず怪我を引き起こしやすくなります。これは股関節だけの話ではなく、ハムストリングスにも同じことが言えますし、大腿四頭筋などでは膝蓋骨周辺の柔軟性の低下、炎症の原因となります。

長時間にわたって可動域を制限した動作を続け、筋肉が短縮し凝り固まってしまう状態のことをStatic Fixation(スタティック・フィキィセーション)と言います。


ストレッチング中の強度

ストレッチをどのくらいの強度で行うかと言うことは重要な因子の一つです。

詳しいことはストレッチのプログラミングと頻度のところ(下記参照)に書いておきましたがここでも簡単に書いておきます。

空手やダンス、体操など関節の可動域を増加させるようなストレッチは高い強度で低ー中頻度で行う、トレーニング後に老廃物などを除去したり、筋肉痛を軽減させる目的で行うストレッチは低ー中強度で行います。強度の低いストレッチは毎日行っても構いません。

ストレッチングの継続時間

理想的なストレッチの継続時間はストレッチのタイプに変わってきます。

ダイナミックストレッチングでは動的な動きをするためどのポジションで何秒静止すると言うことはありません。スタティックストレッチング、CR法でストレッチを行う場合は20秒から60秒を1セットとして行います。

通常、1部位につき1セットずつストレッチを行うとしても全身ストレッチしようと思ったら、胸、広背筋周辺、僧房筋、下背部、肩、三頭、二頭、前腕、首、四頭、ハム、股関節、下腿部・・・(これでもまだ細分化できますね)・・・と、ひとつの部位に2〜3分かけたとして、30〜40分はかかります。

それほど時間を取ってられないという方はその日トレーニングした部位、筋肉痛の部位だけ行うというのも一つの手です(全身行うに越したことはありませんが)。また怪我をしてリハビリ中の部位、自分が時間をかけるべきと思う部位に対してはトレーニングと同じで時間をかけ、入念に行うと良いでしょう。リハビリ中の部位に関しては強度に十分気をつけること、この場合は強度を下げセット数を増やした方が効果的です。


柔軟性とその特異性

1.関節の特異性

例えば、股関節の柔軟性を高めるためのトレーニングで他の関節の柔軟性は向上しないですよね。

ストレッチは目的とする部位すべてについて行わなければなりません。勿論、その中で優先順位付けをし自分にとって重要度の高い部分から順に行うということがもっとも合理的です。トレーニングプログラムと同様、ローテーション(期分け)していくという方法もありますね。

2.ポジションとスピードの特異性

ストレッチの作用を最大限に得るために、ストレッチエクササイズはその特異性に沿って(実際の動作と同様の動きをすること)が理想的です。どういうことかといいますとゆっくり、長い時間を行うスタティックストレッチ(静的ストレッチ)ではダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)で刺激するような早く、高く脚を蹴り上げる(スウィングさせていく)動作の動きは向上できませんし、逆にダイナミックストレッチでは又割りのような関節の可動域を向上させようとする動作を行うには限度があります。

したがって静的な動作の能力を伸ばすにはスタティックストレッチ(静的ストレッチ)を行うことになります。当然といえば当然ですね。

3.関節可動域を増加させるための一因となるウエイトトレーニング

今あなたがどれほど柔軟性があるかは別にして、ウエイトトレーニングはあなたの柔軟性の向上に良い作用をもたらします。
柔軟性を向上させるためには二つのポイントがあり、ひとつめは拮抗筋をバランスよく鍛えること、もうひとつはフルレンジ(全可動域)でトレーニングを行うことです。


体温と柔軟性の関係

体温は関節の可動域を向上させようとするときにひとつの重要な要素となります。体温を上昇している状態では可動域は増し、逆に体温が低い状態では可動域は制限されてしまいます。というわけで私たちは体温を上げた状態でストレッチを行わなければなりません。

体温を上げるには二つの方法があります。

ひとつはシャワーや風呂などによる受動的な方法、もう一つはウォーキングやエアロバイクなど筋肉を自ら動かして体温を上げる能動的な方法です。言わずもがなですが後者の方が優れているといえます。なぜなら体のコアの部分から体温を上昇させていく能動的なウォームアップに対して受動的なウォームアップでは体の表面からしか温められないからです。

体温を上げないままストレッチから入ってしまうとかえって逆効果になってしまうことすらあります。

・ストレッチ前に行うウォームアップが必要な理由は二つあります。

ひとつは先ほども述べたように体のコアの部分から体温を上昇させるということ、もうひとつは筋肉には揺変性(ようへんせい:チキソトロピー:少しかき混ぜるとゲル化状の物質が流動性のゾルに変わり、また放置しておくとゲルに戻る性質。)の性質があり、ウォームアップで体を動かすことによって筋肉を柔軟に動かせる状態にするということです。

逆に言うと、ウォームアップが十分になされていないと筋、関節の可動域が十分に取れないということです。筋温が低く筋肉が固まっている状態だと筋力も十分に発揮できません。


・湿度も柔軟性に影響を与える因子の一つです。

気温が20度で湿度が90パーセントである場合と、気温が20度で湿度が70パーセントである場合では前者のほうが柔軟性が向上するといわれています。多くの専門家は湿度が上がることによって体温の上昇を活発化させ、これが柔軟性に影響を与えるのではないかと言っています。

ストレッチング中の呼吸

ストレッチを行う際、それほど細かく気にする必要はありません。ポイントとしては筋肉を伸ばしていく際に息を吐きながら行うということ、息を止めすぎないこと、この二点です。あとは低−中強度であれば普通に呼吸して行えばいいでしょう。


DOMS(遅発性筋肉痛)予防のためのストレッチング

詳細なる結論はまだ出ていないようですが低−中強度のストレッチがDOMSの筋肉痛を軽減させるのに効果があるといわれています。筋肉をストレッチ、またはマッサージすることによってトレーニング後に発生するヒドロキシプロリンや他の老廃物を取り除くのを助けます。

すでに述べたとおり、強度の高いストレッチは筋繊維や腱に微小な損傷を引き起こします。これは関節の可動域を広げるためには通るべき道なのですがDOMSを軽減させる目的としては適切とはいえないようです。したがってDOMSを軽減させる低−中強度のストレッチ、関節の可動域を広げるための高強度のストレッチは目的、タイミングによって使い分けるとよいでしょう。


ストレッチのプログラミングと頻度

先ほども述べたようにストレッチは目的、タイミングによって強度、そしてストレッチの種類を適切に選択して行うべきです。また行うスポーツによっても必要とされる柔軟性というものは異なってきますのでこれも考慮したうえでストレッチを行わなくてはなりません。

例えば、ダンス、格闘技、体操など柔軟性を必要しますので、関節の可動域を広げるための強度の高いストレッチが必要とされます。一方でパワーリフティングやその他のストレングス系の競技では体が柔軟すぎても困ることが出てきます。例えば、スクワットを行う場合、股関節が柔軟すぎるとしゃがみきったポジションのときに安定しない、投擲選手においては適度な胸の緊張(堅さ)があることにより、投げきる最後のポジションにおいてスムーズに弾性エネルギーを発揮できるといわれています。

行う競技にとって柔軟性が重要視される因子であれば、柔軟性に重点を置くトレーニングは準備期にほぼ完成させておくことが大切になります。そして試合期にはその柔軟性を維持するようにすること、そして障害のある部位については一番最初に時間をかけて行うことがポイントです。

ですから試合などがあると分かっているときには事前に逆算してトレーニングプログラムを作成し、ピーキングしていく前には柔軟性のパフォーマンスを最大にしておきましょう。

関節の可動域を向上させようとする際に行う強度の高いストレッチは、強度の高いトレーニング同様結合組織や筋肉に負担をかけるため毎日行うべきではありません。ですから強度の高いストレッチはせめて一日おきに行うべきです。(低−中強度のストレッチはDOMS軽減のため毎日(もしくはほぼ毎日)を行ってもかまいませんので可動域向上のためのストレッチを行わない日は低−中強度のストレッチを行うとよりいいでしょう。)

ストレッチを行うタイミングとしてはトレーニングのある日はトレーニング後に、オフの日は10分から15分の活動、もしくはシャワーやお風呂に入った後の体が温まった状態で行うとよいでしょう。


 
 
 
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