・喫煙を普段から行っている競技者に対しては、インタビュー調査を行い、主観的な側面の体調変化や喫煙状況を調査した。
・インタビュー調査より、喫煙者群において、喫煙による無気力な精神状態や、集中力の欠如といったマイナスの主観的要素を実感していることが明らかとなった。また食欲の低下にも影響していることが示された。
・剣道競技パフォーマンススキルテストにおいて、
3群(5分前喫煙者群・20分前喫煙者群・非喫煙者群)比較では反復前後跳び課題・選択反応課題において、
2群(喫煙者群全体・非喫煙者群)間では反復前後跳び課題・四則計算による選択反応課題・すり足・シャトルラン課題・早素振り10秒での安静時心拍数値において、有意差が確認された。
・↑の有意差の背景として、喫煙による脳血流量の急激な低下における判断力や予測能力の低下、ニコチンの依存による集中力の欠如、思考能力の低下、無酸素性作業運動能力遂行に対するマイナス要因の影響等が示唆された。
・慢性の喫煙状態は、剣道競技パフォーマンススキルに対し、負の要因を大きくもたらす可能性が推察された。
なお、本報告は今後はサンプル数をさらに増やした形での実験が必要であり、かつ男女を区別した検証が必要である。
『喫煙が剣道競技パフォーマンスに及ぼす影響−巧緻性・敏捷性能力指標を主軸に−』より