STRATEGIC TRAINING SYSTEM

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●肩関節について、その1(インナーマッスル(回旋筋腱板=ローテーターカフ))

■ローテーターカフは、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つからなる。これら4筋のすき間の部分であるローテーターインターバル(rotator interval)は障害を受けやすい。

インナーマッスルを取り囲むように位置するのがアウターマッスルで、関節の運動を止めるべく種々の筋が動く同時収縮時は別として、肩甲骨の関節窩上に上腕骨頭が維持されている時に、【アウターマッスルが関節運動でのスピードやパワー発揮に主として関与している。】

■【ローテーターカフと共に動くアウターマッスル(※インターとアウターのバランスを取っておくことが超重要)

・棘上筋のアウターマッスルは、三角筋中部繊維(肩峰部)

・棘下筋と小円筋のアウターマッスルは、三角筋後部(肩甲棘部)

・肩甲下筋のアウターマッスルは、大胸筋

である。

例えば、三角筋後部に変わって菱形筋が働くと、筋バランスが崩れて、前鋸筋は延長位になって筋力低下をおこし、棘下筋、小円筋も筋力低下をおこす。】

■ローテーターカフは、肩関節の関節包の補強にも働く。

肩関節の関節包は、関節を完全に包み、肩甲骨の関節窩の周囲と、関節包の広がりの末端よりも上の関節軟骨に近い上腕骨の解剖頸につく。

関節包は上部と下部が厚いが、関節包には骨をつなぐ役割はなく、肩甲骨と上腕骨は2.5cm離すことができる。このことが、肩関節の大きな方向への動きの自由度に貢献していると言える。

■関節包周囲の筋群

肩関節後面は靭帯の補強がないが、前面は上・内側・下関節上腕靭帯で、上方は鳥口上腕靭帯によって補強されている。

関節の上方は棘上筋、下方は上腕三頭筋長頭、背側は棘下筋と小円筋の腱、腹側は肩甲下筋腱で補強されている。

両上肢下垂位では、関節包下方は筋肉で補強されず、たるんで腋窩陥凹(えきかかんおう)を作る。腕を長期間動かさないと腋窩陥凹は萎縮、あるいは癒着する。

肩関節が屈曲する際には、上腕骨頭は肩甲骨関節窩の中を背尾側に滑る、凸の法則で動く。しかし、後方関節包が硬化していると、関節包をジャバラ様に押し上げることができず、上腕骨頭が押し上げられ、この際に棘下筋、小円筋が短縮する。

『姿勢の教科書 上肢下肢編』竹井均


●肩関節について、その2(肩関節の機能には全身の機能が必要)

■肩関節の運動は、解剖学的関節である肩甲上腕関節、肩鎖関節、胸鎖関節と、機能的関節である肩甲胸郭関節、第2肩関節などを含む肩関節複合体、および体幹、胸郭、下肢などが共同して働き遂行される。

そのため、肩関節は複数の関節が代償、補償し合っているので、一部の関節に多少の機能障害が存在しても目的を遂行することは可能である。

しかし、代償や補償による運動集中により一部の関節に負担が増す分、障害を招きやすい一面もある。

■肩関節の運動に関わる肩関節複合体および、体幹、下肢の機能的なつながりは階層構造をなしていると考えられる。

したがって、肩関節運動に関わる各関節は、それぞれの下層に当たる関節の機能がしっかりしていなければ十分に機能することができない。

■【例えば、腱板は全て肩甲骨から上腕骨に付着しているため、肩甲骨が胸郭上に安定していなければ、その力を発揮することができない。

また肩甲骨周囲筋は全て胸郭や脊柱に起始部を持つため、体幹が安定していなければ、その力を発揮することができない。

さらに、体幹、胸郭は骨盤を介して、下肢の上に存在するため、下肢機能がしっかりしていなければ、体幹、胸郭もその機能を十分に発揮することができないのである。

つまり、土台がしっかりしていなければ、その上に乗っている関節は安定した機能を発揮できないということであり、肩甲上腕関節以外の機能障害が肩関節疾患を招く原因となり得るのである。】

『運動のつながりから導く肩の理学療法』編集 千葉慎一




●肩関節について、その3

■結論

・長い目でみたら、やはり全身を満遍なく鍛えておくということが一番重要。

・アウターマッスルとインナーマッスルの関係性に調和が取れるように配慮しながら鍛える。

基本的には、正常な骨格配列で、アウターが機能し、正しい動きをしている場合、インナーへかかる負担は少ない。

・身体は歪み始めると連鎖的におかしくなり、一箇所の歪みが全身に波及する場合もある。

不良姿勢や筋肉のインバランスから、肩関節への負担をかけている場合は、上半身(上肢帯、肩関節、肘関節、手関節、手指)、下半身(股関節、膝関節、足関節、足趾)、少しでも関係している箇所は、すべて修正をした方が良い。

修正とは

・過緊張筋、短縮筋の弛緩、リラクゼーション
・関節調整
・弱化筋の活性化、強化
・異常運動パターン修正
・安定化エクササイズ、装具、テーピング
・それを維持する日々のトレーニングなど

『姿勢の教科書 上肢下肢編』竹井均
『マッスルインバランスの理学療法』荒木茂