メカニカルストレスとは、生体内の細胞や組織に負荷される物理的、力学的な刺激である。広い意味では,生体外からの力学的負荷だけではなく,細胞の形態変化や移動に伴って生じる内因性の刺激も含む。
すべての形態変化、移動は力学的な基盤を持っており、細胞が自発的に力を生み出さなければ、形態の変化、細胞移動は起こり得ない。従って、ほとんどの生命現象は力学的基盤を持つと考えられる。
生体レベルでは、重力という「メカニカルストレス」を受けることのできない宇宙飛行士が骨粗鬆症になってしまうことが知られている。ビスフォスフォネート製剤がその予防に使われている。
宇宙の長期滞在では、骨だけでなく、筋力も低下する。予防は、筋力トレーニングの励行だが、宇宙空間では毎日2〜3 時間行っても、20〜30%も筋肉量が低下するといわれている。
つまり運動器(の器官や組織)がメカニカルストレスの作用に対してきちんと応答していることが必要であり、最近は、このことが細胞レベルでも明らかになってきた。力学的刺激を細胞内で変換し、伝達するものについては、多くの研究がなされているにも関わらず、その実体を明確に示した例はほとんどない。
現在、その 1 つと明らかにされているのは、細胞接着斑を構成するp130Casである。Src ファミリーキナーゼの基質タンパク質で,そのノックアウトマウスは心筋形成の異常により胎性致死となる。
『骨粗鬆症研究と治療法の進歩』より
●改善方法
@ウエイトトレーニング
基本、負荷をかける運動の方が骨密度は上がる。
スポーツ別に骨密度を比較するとウエイトリフティングが断トツで、理由はフリーウエイトの複合関節種目をやり込んでいるからではないかとのこと。
ただ現時点で、それをやるどころじゃない人は出来るところから負荷をかけていくことが重要だと考えられます。
『マスターズ・ウエイトリフティング選手の骨密度,筋力,筋断面積から見た 高強度レジスタンストレーニングの影響 Effects of heavy resistance training on bone mineral density, muscle strength and cross-sectional area in Master’s weightlifters.』
http://www.kugahara-sc.jp/f_column/column03.html