■中部胸椎機能不全(mid-thoracic dysfunction)
・長時間の座位姿勢(デスクワークなど)は、T4からT8の円背(猫背)を生じさせる。
・胸腰部脊柱起立筋の過緊張と、深層筋である固有背筋活動性の低下。
・座位の不良姿勢は、頭部前方姿勢、頸部、肩関節の障害をおこす。
・また斜角筋を緊張させ、横隔膜呼吸を抑制する。
・胸椎後わんは年齢とともに拘縮となり、不可逆的な変形(元に戻らない)となる。
■骨盤交叉症候群(the pelvic crossed syndrome)
・脊柱起立筋は重力に抗って緊張しており短縮の傾向にある。一方拮抗筋である腹筋は相動筋であり弱化を起こしやすい。
・また腸腰筋は姿勢筋であり短縮しやすく、拮抗筋である大臀筋は弱化しやすい。
・ハムストリングスは姿勢筋であり短縮しやすく、拮抗筋の四頭筋は弱化しやすい。
■第一肋骨挙上
・僧帽筋、肩甲挙筋、斜角筋の緊張は肩甲帯とともに第一肋骨を挙上させる。これは、胸郭出口症候群、斜角筋症候群の原因になる。
・呼吸補助筋を過剰に使う、呼吸器疾患の患者では、長期間の頸部痛が肩甲帯挙上姿勢(ゴシックショルダー)を作る。
■股関節、膝関節伸展制限
・腸腰筋は短縮傾向、大臀筋の弱化傾向にある。
・内側広筋は弱化傾向、ハムストリングスは短縮傾向にある。
・外側広筋、中間広筋、大腿直筋は短縮傾向にある。
・大腿直筋とハムストリングスは骨盤を介して、骨盤の矢上面(体を前から左右に分けスライスした縦断面)での動きに影響を及ぼす。
・胸椎後彎が組み合わされると、骨盤は後傾位になり、股関節、膝関節が曲がる。
参考
『マッスルインバランスの理学療法』荒木茂
『姿勢の教科書』竹井均
『拘縮の予防と治療』奈良勲、浜村明徳
●↑筋のインバランスの例は極々一部で、実際はもっと多岐にわたる(関節、筋膜、神経なども含めると更に)んですが、専門の方が近くにいない場合は、トレーニング前に写真1の【短縮しやすい筋】を緩めるだけでも、トレーニングの質がグッと上がるかもしれません。
逆に弱化して伸びている筋肉は、緩みきってダルダルになっているので、それ以上伸ばす必要はありません。
あとは、代償運動(対象筋以外を使って運動する)させないようにしながら、少しずつ収縮させる練習をしていってください。
【不良姿勢の改善、正しい姿勢の再学習、正しい運動パターンの再学習は、すべて伸びしろです。やればやるほど、楽になるし、怪我しにくくなるし、身体も成長しますので是非やっていない方は初めてみてください。】