STRATEGIC TRAINING SYSTEM

| トレーニングのホームへ | YYOKOTA.NETのホームへ |

姿勢と体型と骨格から考えるトレーニングパート2

姿勢の分類に続いて、体型(長さ、幅、前後径)についてみていってみましょう。

体型と機能障害のリスクの関係性については、『クラインホーゲルバッハの機能的運動療法』が参考になります。

パート1の姿勢の分類と違って、体型(長さ、幅、前後径)については後天的に変えることが出来ない要素なので、どのようなフォームでトレーニングをすれば良いか、そして負担が少ないかをしっかり考えていく必要があります。

これは身体作りをする全ての人にとっては勿論、トレーニング指導をする場合に必ず押さえておきたいポイントです。

自分にとってはすごく簡単な動作でも、骨格的に向いていない他の人にとっては非常に困難な動作になる場合があり、自分の感覚のみで教えると怪我をさせてしまう可能性もあるからです。

●体型による機能障害のリスク(Klein-Vogelbach 1990; Kollmann 1901)



・性差については考えない。
・一般的な大人のヨーロッパ人を基準としている。
を前提条件として

正常を
・上半身:下半身 1:1
・大腿長:下腿長 1:1
・骨盤、胸郭と頭部 1/5:2/5:2/5
・上肢長と上半身長 1:1
とする。

@各部位の長さと機能障害の関係

・上半身が短い:スクワット時、股関節屈曲が大きくなる。
・上半身が長い:上半身を前傾させた時、腰椎が後弯しやすい。腰椎、股関節への負担が増える。座位での脊柱後弯。腹直筋の収縮増加。

・前傾する体が重過ぎる場合、腰椎屈曲により、軸を短くしようとする。腰仙椎移行部に負担がかかり筋への負担が増えるか、軟部組織に負担がかかる。

・大腿が長い:スクワット時、膝の負担が大きい。

・骨盤が長い:座位姿勢で腰仙移行部が後方に押し出され腰椎に負担がかかる。
・胸郭が長い:腕の重さが強く腰椎に影響。

・頭部長が長い:頸、肩に負担。

・腕が長い:頸、肩に負担。
・腕が短い:座位での体支持困難。

A各部位の幅と機能障害の関係

・正常は、大転子幅=胸部幅

・大転子幅が広い:肩関節が外転しやすい。僧帽筋上部、肩甲挙筋、三角筋、菱形筋、棘上筋が緊張しやすい。ゴシックショルダー(肩甲骨の挙上)、ローテーターカフの変性(肩のインピンジメント)が起こりやすい。
・大転子幅が短い:骨盤−股関節の分離運動が制限されやすく、股関節の屈曲を腰椎で代償しやすい。

・胸郭横幅が広い:機能的外転しやすい。
・胸郭横幅が狭い:隘路症状が現れる場合がある。

・肩関節幅が広い:鎖骨が水平(肩甲骨の下制)、僧帽筋上部の負担増加。胸郭出口症候群のリスク増加(斜角筋の負担増加)。肩関節幅が短い、肩甲骨の動的安定性低下。第一肋骨の相対的挙上。

・骨盤が広く、短い:腰椎が安定しており、高重量が扱いやすい。ウエストは太くなりやすい、
・骨盤が狭く、長い:腰椎を痛めやすい。

B各部位の前後径と機能障害

・胸郭前後経が大きい:円背や肋骨の挙上により呼気が制限され胸骨角が増大する(吸気位をとる)
・胸郭前後経が極端に大きい:腰椎や下肢の関節に影響を与える。
・胸郭前後経が小さい:胸椎平坦、漏斗胸、肩甲骨の動きを障害。呼吸や肩甲骨の動きの障害

・頭蓋骨の前後径が後頭部側が短い:頭部前方姿勢となり、頭痛や頸部痛を起こしやすい。

・正常では胸郭前後径=足長
・踵骨棘ー内果:内果ー母指基節関節=1:1.5
・踵骨棘ー外果:外果ー小指基節関節=1:2?

・踵部分が小さい:踵が小さい場合、重心は後方、支持基底面の後端に近づく。身体のバランスをとるため、身体重心を前方に移動させるため偏平足や槌指変形など足部アラインメントに影響する。踵の高さをあげることによって修正できる。


姿勢のタイプ、体型の分類をザックリ述べてみましたが、これより細かいこと、たとえば、上腕と前腕、大腿と下腿の長さのバランス、肘や膝の内反、外反、骨盤や肩板の大きさ、可動したときに起こる問題、高負荷をかけたときに起こる問題、仕事やスポーツで作っている癖(環境的要因)なども考慮出来れば尚良いです。

情報が多岐にわたるのですべては書けませんが、パート1とパート2を考慮して、どのようなことを考えていけば良いのかパート3で書いてみたいと思います。

参考
クラインホーゲルバッハの機能的運動療法
マッスルインバランスの理学療法

 
 
 
Copyright : YUKI YOKOTA