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Mandibular Orthopedic Repositioning Appliance(MORA) :下顎再配置矯正装置

アスリートが自らの持つ能力を開花させるためには体を鍛えることが最優先されていますが、勝利者になるためには首より上、つまり顎について考えたほうが良いかもしれません。この部分はTMJ(temporomandibular joint、顎関節)と呼ばれ下顎と頭蓋骨をつないでいます。
TMJがアンバランスであったり、疲労すると頭痛や首のこわばり、脊椎の湾曲、欝、筋力の低下、協調運動不全などを引き起こすといわれています。

スポーツ歯科学の分野でぴったりと歯形に沿ったMORAが作られていることはまだあまり知られていませんが、MORAを使用してからパフォーマンスが向上した(特に筋力発揮において)という報告は数多くあります。MORAはボクサーやフットボール選手が使用する硬めのマウスピースのことではありません。通常のマウスピースでは筋力の向上は見られないといいます。

MORAは1980年の冬季オリンピックの際、歯科矯正医であるリチャード・コフマンが自らの患者であるリュージュの選手の頭痛や首の緊張を防ぐために開発したものです。頭痛や首のこわばりなどの症状は走行中に進路調節のためずっと微妙に首を上げ、なおかつ不安定な状態で横になっていないといけないリュージュ選手にとっては職業病といえます。

MORAは透明のアクリル製素材でできており非常に軽量で、帯状の形をしており直接臼歯、そして小臼歯にてかみ合わせます。(臼歯とは口の奥にあって、先端が平らな歯のことです。MORAは食事をするときにも装着しておけます。)コフマンはアスリートは体のことだけではなく頭部(顎関節も含めて)のことも考えなくてはならない、歯科医が体の50%をコントロールできるといっても過言ではないと言っています。


歯並びが悪い、顎を強く強打するなどした場合は筋力が低下するといわれています。TMJがバランスを崩し常にストレス下にあると脳はTMJを動かすたびに脊椎や腕などに間違ったシグナルを送り、これにより体は余計に働かざるを得なくなり、疲労を招く原因となります。これは椅子の角に座っているのと同じようなことだとコフマンは言います。つまりそのようなバランスを欠き、無理に負担のかかるような状態では長い時間にわたって筋肉を使い続けることができないということです。

MORAは上歯と下歯の凸凹の差を埋め歯ならびを均一にします。これによりTMJにかかる負担を軽減し、頭痛、脊柱側弯症を改善、歯の磨り減りも減少し本来持っている筋力、エネルギーを十分に発揮できるようになるといわれています。

上で述べた症状の改善は標準的なものですがアスリートにおいては、10種競技の選手が棒高跳びの記録をMORAを使用することによって6インチ伸ばすことができた、シーズンに250イニングを投げる大学野球の投手がMORAを使用することによって今までになく疲労が軽減され、より力強く、そして粘り強く投げられた、など目に見えるパフォーマンスの向上、改善をすることができたなどの報告があります。

またフィラデルフィア大学の整骨療法科、顎関節矯正センターのディレクターであるステファン・スミス博士は自らの大学のフットボールチーム、フィラデルフィアイーグルスの選手らにMORAを使用させたところ筋力発揮の増加、そしてそれにより衝撃からのダメージを軽減させることができたといわれています。これらの歯科医達のいうことがすべて真実なのであれば歯並びが悪い、顎関節がポン、カタカタと音がする人などは一度スポーツ歯科の専門家にTMJのチェックをしてもらうといいかもしれません。

 
 
 
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