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●キネシオテーピングについて、その1

■キネシオテーピングと鎮静効果

キネシオテープは皮膚上に貼付するが、皮膚とは単なる一枚の皮ではない。

皮膚は、解剖学的に一応「表皮、真皮、付属器で形成されている」と説明されているが、とくに、その部位により、伸展性および可動性が著しく異なる点に注目する必要がある。

すなわち、表層部の皮膚では、深部組織との間に浅筋膜(粗結合組織)が介在しており、皮膚の移動性が高い。同時に、つまんだり、移動させたりすることができるほど伸展性も大きい。

■ところで、皮下では筋肉との間に生体が必要とするスペースが維持されて血液、リンパの循環を促している。

それが、炎症、浮腫、重みなどのために皮膚が張り、皮膚と筋肉間のスペースが狭められると、必然的に微少循環不全、内圧の上昇などが生じ痛みが発生する。

とくに手術後、皮膚が皮下の諸組織と癒着したときは、耐えられぬほどの痛みを出す。また肩などの障害では、トリガーエリアと言われる極小な軟部組織があらゆ方向へ散痛を走らせる。

そうした症状に対して、一定の収縮率を備えたキネシオテーピングを行うと皮膚と筋肉間の摩擦を減少し、スペースが確保される。

その結果、血流量が増大し、リンパの流れが活性化されて痛みの軽減、消失をみるわけである。

『キネシオテーピング法 上巻』加瀬建造



●キネシオテーピングについて、その2

■キネシオテープを施すことによって、皮膚上に群在する冷・温・触・痛などいずれの感触器も鋭敏さを失い、痛み感覚が薄れる。

それは良いとして、一方において生体特有の‘’慣れ‘’が生じ、やがて痛み感覚機能が元に戻ると、その反動痛も馬鹿にならない。

これは1例だが、危篤な筋ジストロフィーの患者が呼吸筋にキネシオテープを施したところ呼吸をするのがたいそう楽になった。

ところが、一旦テープを外すと、呼吸器が以前にも増して苦しくなり、恐怖感を覚えたという。

【こうした生体特有の慣れの現象を考慮すると、やはり疾患別の痛み、悩みの度合い、テープを貼っている期間、貼り替えるタイミングなどの対応についても慎重を期さなければならないだろう。】

■一方、一部の皮膚は、筋肉、骨、軟骨、靭帯などの深部組織に様々な形で付着している。

それらの皮膚は当然、可動性は制限されるが、その代わり神経、血管、リンパ支配が豊富である。

例えば、膝関節に例をとると、この関節は大腿骨顆と脛骨、腓骨を結ぶ内・外側副靭帯のほか、脛骨大腿関節内の十字靭帯、内・外関節包靭帯などにより補強されている。

それらの靭帯、関節包は坐骨神経、閉鎖神経、脛骨神経、大腿神経、外膝窩神経など数多くの神経支配を受けており、ちょっとした障害でも容易に疼痛を引き起こす。

しかも滑膜に達している動脈は自律神経および知覚神経の支配を受けており、関節になんらかの以上があると疼痛のほか、冷・温ならびに気圧の変化により痛みが憎悪することになる。

そうした靭帯、関節包に対してキネシオテーピングを施すことにより、可動域や内圧の正常化、また虚血状態の回復を通じて、早期に疼痛を軽減、回復させることができるわけである。

『キネシオテーピング法 上巻』加瀬建造





●キネシオテーピングについて、その3

■関節の安定性を維持するためには、気圧との関係についても考慮する必要がある。

生体と気圧の関係について有名な実験だが、股関節を解剖して、その筋肉、靭帯などをすべて取り去っても、大腿骨は関節からずり落ちない。ところが、関節にどんな小さな穴でも1つ開けると、大腿骨はポロっと落ちてしまう。

これにより、関節内は一定の気圧で保たれている事実がわかった。今日では、低い気圧のときは、主として、それに随伴する酸素欠乏の影響を受けること、また高い気圧から常圧に戻るときは体内の窒素が気泡化して関節や中枢神経系に流入し、特殊な症状を引き起こすことがわかってきた。

■とくに、関節内の侵害受容器は、痛み感覚に対して敏感に反応する。したがって、関節内部のスペースが少しでも狭くなっていたりすると、内部の気圧がすぐに高まり、痛みが生じることになる。

昔から、気象の変化(寒・暖)、季節の変わり目(木の芽どき)などに痛みが憎悪したり発病するのも、大気圧と無縁ではなかったわけで、今日では、気象内科といった臨床も誕生している。

『キネシオテーピング法 上巻』加瀬建造




●キネシオテーピングについて、その4

■まとめ

・貼る場所、方向を見極める。大局で見て、現在の身体の中で、一番重要な場所に、必要なテンション(テーピングの引っ張り具合)で貼ること。

同時にいくつも貼って悪い訳ではないけど、一度に沢山の場所を修正すると、身体も頭も混乱しやすいので。

・そして、貼ったら終わりではなくて、貼って筋が正常な働きが出来る間に、正常な動かし方(機能性)を戻しておくこと(※テーピング体質に依存しない)。

・回復しているのに貼り続けない。例えば、筋の短縮を緩めるキネシオテープを貼り続けると、一定期間後はその筋を弛緩させることになる。姿勢や全体の筋バランスを考えながら貼ることが重要。

・ゴムアレルギー、皮膚過敏症の人は痒かったら無理しない。

・貼ったら調子が悪くなる←長時間貼りすぎ、強く貼りすぎ、そもそも貼る場所を間違っている、などの可能性がある。

■正しく行えば、トレーニング前のストレッチや調整時間の短縮にも繋がりますし、トレーニング後の回復ツールとしても使える万能なやつです。

ただし、あくまでツールなので、身体を整えた状態で、それを安定させるためにトレーニングをしっかりやらないといけないのは当たり前です。

キネシオテーピングを使いたい人は、詳しい人に聞いてみましょう。

『すぐ効くキネシオテープ療法』全国キネシオテーピング協会