腸内細菌その3
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◆前回の続き
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前回の続きです。
ではどうやって体内の腸内細菌が正しく機能していると評価すればい
いのでしょうか。
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◆腸内環境のもっとも身近な評価方法
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腸内細菌叢の働きがどうなっているかをもっとも身近に評価する方法は…
「便を見ること」です。
即ち、便の色、におい、形状(硬さ、形、大きさ)によって腸内環境
を評価するということになります。
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●色
理想は乳児に見られるような黄色い便ですが、腸内細菌叢の異なる成
人には無理なので黄色みがかった黄褐色というのが理想です。動物性
たんぱく質を必要以上にとりすぎると便の色は茶褐色、腸内の腐敗が
さらに進むと黒褐色に近い色になります。
便の色は胆汁色素、食べ物のカス、血液、粘液などによってつけられ
るのですが、中でも便の色に深く関わっているのが胆汁色素です。
胆汁色素はいらなくなったヘモグロビンが肝臓で分解され、胆汁とし
て分泌されたとき含まれる色素です。その胆汁色素は食べ物と一緒に
小腸から大腸へと下がってくるのですが、そのときの腸内の酸性度に
よって色を変えます。
・アルカリ性だと緑褐色
・酸性だと黄色−オレンジ といった具合です。
乳児の場合は主となる栄養素が母乳で、腸内はビフィズス菌95%〜
99%という素晴らしい腸内環境で、ビフィズス菌が作る酢酸や乳酸
のはたらきで体内のペーハーは著しく酸性に傾いており、便が黄色な
のも納得が出来ます。*粉ミルクの場合は悪玉菌も増えるそうです。
成人になっても穀物や野菜を中心に栄養摂取できている人たちは細菌
の働きで腸内の発酵が進むため、酸性に傾き、便の色も理想に近い状
態になります。
一方、肉や魚を食べ過ぎている人たちは腸内の腐敗が進み、アルカリ
性に傾き、便の色は茶、黒褐色になります。また真っ黒い便などは胃
や腸で出血している、もしくは何か問題のある可能性があるので病院
にいってください。
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●におい
便のにおいの主成分はインドール、スカトール、硫化水素、アミン、
酢酸、酪酸などですが、その中で主に悪臭の原因となるのがインドー
ル、スカトール、硫化水素、アミンです。主にタンパク質の過剰摂取
により腸内の悪玉菌が繁殖している証拠です。
腸内環境が健全な場合は便は悪臭を放ちません。
赤ちゃんの便はそれほど臭わないのに、お年寄りの便がしばしば悪臭
を放つのは腸内細菌叢と関係があるといえるでしょう。
ちなみに個体差はありますが高齢になるほど腸内細菌は善玉菌より悪
玉菌が優勢になるといわれています。無論、年齢が若くても腸内が老
化していれば同じような症状が出るはずです。
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●形状(硬さ、形、大きさ)
一般的に言われている便の太さは小ぶりのバナナ2本程度。抵抗感無
しに出るのが理想的です。
普通の便は水分が75〜80%、あとは固形物を含む
水分量が60%以下になるとコチコチかカチカチの便秘。
NASA(アメリカ航空宇宙局)において、アポロ計画の一環としておな
らが真剣に研究されたことがあります。船内で飛行士がするおならに
可燃性があるとすれば船内に溜まって爆発しないか、おならでガス中
毒を起こさないか。
幸いおならによる影響はないことがわかったのですが、その研究でお
ならの成分は約400種類も検出されました。
ここからが本題です。
おならの主な成分は窒素、水素、炭酸ガス、メタン、酸素といった無
臭のものに、便のにおいのところでも出てきましたインドール、スカ
トール、硫化水素、アンモニアなど悪臭のあるガスが微量に含まれま
す。
そしておならの悪臭の元は主にタンパク質が腸内の腐敗菌が分解され
たときに出たガスなんですね。
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◆便は腸の便りである
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