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腸内細菌その1
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◆カロリー計算
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この食べ物は何キロカロリー、この食べ物にはどのような栄養素が含
まれている、今日は何キロカロリー食べたなどなど・・・
 
これらはあくまで外から入れたカロリーの摂取量で実際にはそのうち
どれだけの栄養が体内に吸収されたかというのは完全に把握すること
が出来ません。
 
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◆消化吸収
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そこでごくごく当たり前のことなのですが消化と吸収についておさら
いしてみましょう。
 
食べものは口の中で咀嚼され、唾液と混ざった状態で食道を通って胃へ。
胃に送り込まれた食べ物は体温程度に温められ、お粥状になり、消化
液の働きでさらに細かくなり、脂肪と糖質が分散される。
↓ 
胃の食べ物は少しずつ小腸に送られ、ここで膵液、胆汁、腸液と混ざ
り、消化酵素によって本格的な消化が始まる。
↓ 
栄養素は小腸の柔毛(じゅうもう)から吸収され、未消化物は大腸に
送られ、大腸の前半部分で水と電解質が吸収され、後半部分では便が
作られ、これらを一時ためてから対外に排出される。
 
*これらの過程では神経系や内分泌系が相互に連絡を取り合い消化液
の分泌や消化管の運動を絶妙に調節しているのですが、細かくなるの
で端折りますね。
 
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◆腸内細菌
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ちょっとややこしかったかもしれませんが、とりあえず、だぁ〜っと
見てみると、食べ物がおもに吸収されるのは腸だということです。
 
食べ物は腸内で消化酵素によって最も吸収されやすい状態にされるの
ですが、その作業に密接に関わっているのが、その種類300種、数
は100兆個、重さにして約1kgといわれる腸内細菌です。100
兆個って人間の細胞(60兆)より多いですから、天文学的な数字で
すね。
 
その腸内細菌は大きく
 
●体を良くする為に働いてくれるもの(善玉菌)
●体を悪くするために働いてしまうもの(悪玉菌)
●どっちつかずのもの(日和見菌)
 
の3種類に分けられます。
 
そのまんまですが、善玉菌が多ければ多いほど腸は食べ物をより効率
よく吸収してくれますし、悪玉菌が多くなればなるほど、食べ物の吸
収を悪くしてしまいます。そしてそのバランスは日々の生活(何を食
べるかやストレスレベル)によって変化します。
 
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◆過食≠体作り
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つまりは、善玉菌優勢、悪玉菌劣勢の腸内環境にしておくことが、栄
養の取り込みを最大限に高めておくためのキーということですね。
 
たんぱく質をとりまくったから、それが全部筋肉になるわけではあり
ません。むしろめちゃめちゃ悪玉菌を増やすことになります。 
 
他の栄養素についても同じです。
 
吸収の悪い状態で詰め込んだところで自体をさらに悪化させてしまう
わけです。こう考えると、カロリーを計算する前に(同時並行でも構
いませんが)やるべきことが見えてきますね。
 
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◆やるべきことはたった2つ
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@腸内善玉菌を増やす、腸内善玉菌を減らす食事、生活を送り
Aそのアプローチが正しいかどうかを評価する
 
だけです。
 
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◆とりあえず、今回はここまで
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今日はソフト(外から摂取する食べ物)ではなく、ハード(それらを
消化吸収する腸内の環境)に目を向けて考えてみようということで述
べてみました。
 
腸内の環境を整えるためにはどのようなアプローチを取り、どのよう
な評価をすればいいか、詳しくは”腸内細菌その2”でみていきまし
ょう。

腸内細菌その2
 
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◆腸内の環境を整えるために
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前回は食べ物の吸収と腸内細菌についての大雑把にみてきました。
 
今回は具体的に
 
●腸内善玉菌を増やす、腸内善玉菌を減らす食事
 
についてみていきましょう。
 
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◆腸内環境を整える機能性食品
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腸内環境を整える食品は
 
●プロバイオティクス
●プレバイオティクス
●バイオジェニックス
 
の大きく3つに分けられます。
 
ではそれぞれについて具体的にみていってみましょう。
 
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◆プロバイオティクス
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プロバイオティクスは
 
「生きた状態で、摂取すると腸内の善玉菌の増殖を促進、あるいは悪
玉菌の増殖を抑え、その結果、健康に有利に働く酵母や細菌」で、乳
酸菌、納豆菌、酪酸菌などの生きた細菌や、ヨーグルトなどの発酵乳、
乳酸菌飲料が上げられます。
 
例えば、ヨーグルトは牛乳と比べて
 
●乳酸菌の菌体成分が免疫力を高め、血糖の急上昇を抑える
●乳酸菌の乳糖分解酵素により、乳糖が分解されるため、乳糖不耐症
の心配をしなくて良い
●乳酸発酵によってタンパク質が分解されており、約4倍の必須アミノ
酸が作られる
●カルシウムと乳酸が結合しており乳酸カルシウムとなり吸収が良い
 
といったメリットも得られます。
 
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◆プレバイオティクス
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プレバイオティクスは
 
「消化されにくい食品成分で、それを摂取すると、体内の善玉菌の増
加を促し、悪玉菌の増殖を抑制し、その結果腸内環境が改善され、健
康に有利に働くもの。善玉菌のエサとして知られています」
 
代表的なものとしてはオリゴ糖、食物繊維、BGSなどが上げられます。
 
*BGSとはスイスチーズから分離したプロピオン酸菌による乳性発酵物。
オリゴ糖や食物繊維の摂取時に起こる腸内ガスの発生や膨満感がなく、
穏やかに作用が発現するといわれています。
 
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◆バイオジェニックス
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バイオジェニックスは
 
「直接免疫機能を高めたり、コレステロールや血圧、血統を下げたり
活性酸素を減らしたりすることによってガンや老化を予防する成分」
で生理活性ペプチド、植物フラボノイド、各種ビタミンや抗酸化サプ
リなどが含まれます。
 
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◆まとめると
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善玉菌に有利に働く酵母や細菌、そしてエサとなる食物繊維やオリゴ
糖を日々継続して摂取し、動物性タンパクや脂質(欧米食)の過剰摂
取をさけ、普段の食事プラスアルファで必要に応じて各種ビタミンや
抗酸化サプリを摂るということになります。
 
摂取量やバランスは変われど、ハードにトレーニングを行う人にとっ
ても同様で、基本は資本となる腸内環境を整え、高いレベルで栄養を
吸収する能力を維持することです。
 
消化吸収のキャパシティを最大限に高めることを考えるのもいいです
が無理のない範囲で行ってくださいね。まずは正常に機能してくれる
ことありきですので。

腸内細菌その3

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◆前回の続き
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前回の続きです。
 
ではどうやって体内の腸内細菌が正しく機能していると評価すればい
いのでしょうか。
 
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◆腸内環境のもっとも身近な評価方法
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腸内細菌叢の働きがどうなっているかをもっとも身近に評価する方法は…
 
「便を見ること」です。

即ち、便の色、におい、形状(硬さ、形、大きさ)によって腸内環境
を評価するということになります。
 
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●色
 
理想は乳児に見られるような黄色い便ですが、腸内細菌叢の異なる成
人には無理なので黄色みがかった黄褐色というのが理想です。動物性
たんぱく質を必要以上にとりすぎると便の色は茶褐色、腸内の腐敗が
さらに進むと黒褐色に近い色になります。
 
便の色は胆汁色素、食べ物のカス、血液、粘液などによってつけられ
るのですが、中でも便の色に深く関わっているのが胆汁色素です。
 
胆汁色素はいらなくなったヘモグロビンが肝臓で分解され、胆汁とし
て分泌されたとき含まれる色素です。その胆汁色素は食べ物と一緒に
小腸から大腸へと下がってくるのですが、そのときの腸内の酸性度に
よって色を変えます。
 
・アルカリ性だと緑褐色
・酸性だと黄色−オレンジ といった具合です。
 
乳児の場合は主となる栄養素が母乳で、腸内はビフィズス菌95%〜
99%という素晴らしい腸内環境で、ビフィズス菌が作る酢酸や乳酸
のはたらきで体内のペーハーは著しく酸性に傾いており、便が黄色な
のも納得が出来ます。*粉ミルクの場合は悪玉菌も増えるそうです。
 
成人になっても穀物や野菜を中心に栄養摂取できている人たちは細菌
の働きで腸内の発酵が進むため、酸性に傾き、便の色も理想に近い状
態になります。
 
一方、肉や魚を食べ過ぎている人たちは腸内の腐敗が進み、アルカリ
性に傾き、便の色は茶、黒褐色になります。また真っ黒い便などは胃
や腸で出血している、もしくは何か問題のある可能性があるので病院
にいってください。
 
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●におい
 
便のにおいの主成分はインドール、スカトール、硫化水素、アミン、
酢酸、酪酸などですが、その中で主に悪臭の原因となるのがインドー
ル、スカトール、硫化水素、アミンです。主にタンパク質の過剰摂取
により腸内の悪玉菌が繁殖している証拠です。
 
腸内環境が健全な場合は便は悪臭を放ちません。
 
赤ちゃんの便はそれほど臭わないのに、お年寄りの便がしばしば悪臭
を放つのは腸内細菌叢と関係があるといえるでしょう。
 
ちなみに個体差はありますが高齢になるほど腸内細菌は善玉菌より悪
玉菌が優勢になるといわれています。無論、年齢が若くても腸内が老
化していれば同じような症状が出るはずです。
 
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●形状(硬さ、形、大きさ)
 
一般的に言われている便の太さは小ぶりのバナナ2本程度。抵抗感無
しに出るのが理想的です。
 
普通の便は水分が75〜80%、あとは固形物を含む
水分量が60%以下になるとコチコチかカチカチの便秘。
水分量が80%を超えると軟便となり、形をとどめにくくなる
水分量が90%と超えると下痢です。
 
触ることができませんので、硬さに関しては感覚的なものになるでしょうが…。
 
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◆おならの話
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NASA(アメリカ航空宇宙局)において、アポロ計画の一環としておな
らが真剣に研究されたことがあります。船内で飛行士がするおならに
可燃性があるとすれば船内に溜まって爆発しないか、おならでガス中
毒を起こさないか。
 
幸いおならによる影響はないことがわかったのですが、その研究でお
ならの成分は約400種類も検出されました。
 
ここからが本題です。
 
おならの主な成分は窒素、水素、炭酸ガス、メタン、酸素といった無
臭のものに、便のにおいのところでも出てきましたインドール、スカ
トール、硫化水素、アンモニアなど悪臭のあるガスが微量に含まれま
す。
 
そしておならの悪臭の元は主にタンパク質が腸内の腐敗菌が分解され
たときに出たガスなんですね。
 
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◆便は腸の便りである
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ある陸上のコーチが大会に臨む選手の便までチェックしていたいうの
を聞いたことがあります。これも選手のコンディションをチェックす
る上である種非常に効果的な方法であるといえるのではないでしょう
か。
 
 
 
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