炎症は怪我や感染症に対する体の自然な防衛反応である。
炎症を起こす原因として主なものには
怪我、感染症、バクテリア感染、真菌感染、ウイルス感染、多量の薬の使用、フリーラジカルのよるものなどが挙げられる。炎症を起こした患部は、赤くなる、腫れる、熱を持つ、そして圧痛などの痛みを伴う。
炎症は短期的には腫れや痛みによってパフォーマンスを低下させ、長期的には骨や関節に影響を与え、慢性的な痛みや可動域の制限などさらに重い障害を引き起こす場合がある。
■炎症へのアプローチ
コンタクトスポーツや特定の部位を酷使するようなスポーツにおいては打撲、ねんざ、内出血、筋疲労などにより炎症は起こりがちである。抗炎症に対するアプローチは内部からの治療と外部からの治療の二つ
に分けられる。
●内部からの治療:食事やサプリメント、そして薬を使うこと。
●外部からの治療:代表的なものにはアイシング、医学的処置
なぜ冷やすか? それは冷やすことによって一時的に細胞を冬眠状態にし、痛みや腫れを抑え炎症による影響を最小限に抑えるためである。炎症が起こると血管内から白血球が患部に集まることによってその部位を修復させようとする。しかし炎症が長引くと周囲の組織を破壊し、結果的として骨や関節に障害を与えることになってしまう。
■炎症への対処
炎症への対処法として応急手当の後にまず最初に考えるべきことは
「何故それが起こったか」原因を探ることである。トレーニング中の怪我の場合であれば
●無理な体勢でトレーニングを行わなかったか
●コントロールしきれない重量で腱や靭帯にダメージを与えるトレー
ニングを行わなかったか
●筋肉ではなく関節に負荷がかかる軌道、可動域でトレーニングを行わなかったか
●ダンベルやバーベルをスタートポジションに持っていく際に肩や肘
に無理な負担がかかるような方法を用いていないか
●コンディションが悪いのに無理してトレーニングを行わなかったか
●筋バランスを欠く様なトレーニングプログラムを構成していないか
などが原因として考えられる。
何故それが起こったか検証し、それを未然に防ぐにはどうしたら良いか学習しておかないと完治してもまた同じことを繰り返すことになる。原因を考え、予防することが最も重要である。
■アイシング
●アイシングを行う際は皮膚表面だけを冷やしても仕方ないので、氷をくだいて袋に入れたアイスパックなどできるだけ冷たいもの(0度
程度)を用いて患部を15分程度冷やす。冷た過ぎるという場合は少し冷やす&少し休憩、
少し冷やす&少し休憩ということを繰り返して慣らしていくと良いだろう。少しずつ感覚がなくなってきてアイシングを行い易くなるはずである。
●アイシングを行う時間があまり短すぎたり、アイスパックの温度が
高すぎるとアイシングとしての意味をなさない。またアイシングを行う時間が長すぎたり、アイスパックの温度が低す
ぎるとかえって凍傷を起こす可能性があるのでこちらも気をつけたいところである。
■凍傷
血管収縮がひどく皮膚細胞が十分な酸素を摂取できないために血行不全になる。初期の神経障害は可逆的であるが、神経組織が壊死すると不可逆的と言われている。
凍傷を起こすためには、皮膚が華氏32度未満(氷点下0度以下)と言われているため、アイシングをしていて氷が溶けてきていれば、それほど気にする必要はないが、念の為患部の様子をみながら行うと良い。
*膝の外側や肘など刺激に対して敏感な部位では神経障害が残りやす
いのでパットを当ててその上からアイシングするようにした方がいいだろう。
*15分程度冷やすと書いたが、あくまでも目安なのでケースバイケースでアイスパックの温度、時間などを微調整する必要がある。また心疾患などがあるときには医師の指示を仰ぐこと。
■クーリング
●スポーツにおいて、アイシングとは別に筋肉の温度を下げるために
5〜10度程度の水で冷やすことをクーリングという。
クーリングの場合はアイシングのように0度で冷やしてしまうと筋肉が冷えすぎてパフォーマンスが低下してしまうで、冷やし過ぎないようにしたいところである。クーリングの目的は上がりすぎた筋肉温度を適正な状態まで戻しパフォーマンスを維持することにある。
■クライオキネティクス
●アイシングを行うと冷やされた患部は冬眠状態にあるので関節や筋肉の可動域が制限される。そこでアイシングとエクササイズ(ストレッチなど)を組み合わせて行うことによって可動域の制限を防ぐ方法を「クライオキネティクス」
または「ムーブメント・オン・アイス」という。クライオキネティクスを行った方が可動域の制限を防ぐだけではなく、腫れや炎症を抑えるのにもアイシングと比較して比べてさらに効果的であると言われている。
■炎症を抑えるための食事
炎症の症状を軽減させるための食事について見て行こう。
●抗酸化作用を持ち、炎症を抑えるフラボノイド:
フラボノイドはほうれん草やブルーベリー、緑茶、グレープフルーツ などに豊富に含まれている。
またフラボノイドではないが、タマネギにはケルセチンという成分が含まれており、これも炎症を抑えるのに効果的だ。
●新鮮なパパイヤやパイナップル:
新鮮なパイナップルにはブロメライン、パパイヤにはパパインと呼ば
れるタンパク分解酵素が含まれ、これが炎症と赤みを抑えるといわれている。ただし缶詰に入ったもの、ジュースなど一度火を通してしまったものは酵素が死滅してしまうので効果は期待できないだろう。
●ニシン、サーモン、サバなど必須脂肪酸の豊富な魚:
逆に揚げ物、炒め物、その他コッテコテ系の料理に含まれる飽和脂肪は炎症を促進させる作用があるので避けたい。
■炎症を予防するためのサプリメント
●ビタミンB群 50mgを一日3回 :細胞組織の修復に必要
●ビタミンC
3000-6000IU:炎症を抑える。抗酸化作用。炎症からの
回復のために必要。
●ビタミンA ラベルに記載されている通り:免疫力の向上
●ビタミンE 400〜600mg:抗酸化作用、抗炎症効果
d-αトコフェロールが望ましい。
●ブロメライン ラベルに記載されている通り :
100mg〜500mgのマグネシウム&500mgのLシステインと共に空腹時に摂
取するとさらに吸収率が高まる。
●ガーリック:2〜3カプセルを毎食事と共に :抗炎症作用がある。 またハーブではアロエベラやビルベリーなどが炎症を抑えるのに効果的である。