STRATEGIC TRAINING SYSTEM

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●糖化について、その1

■Toxic AGEs (TAGE) 病因説からみた生活習慣病予防の新戦略?食事性AGEsおよび糖毒性の真実?

私達のこれまでの糖化蛋白質に関する研究より,ヒトの体内では色々な経路から様々な終末糖化産物(advanced glycation end-products, AGEs)が生成してくることが明らかになっている(図1)。

なかでも【ブドウ糖や果糖の代謝中間体であるグリセルアルデヒドに由来するAGEs(Glycer-AGEs)は,他の経路から生成してくる様々なAGEsと異なって,非常に強い細胞障害性を示すことから,他のAGEsと区別する意味合いで,toxic AGEs(TAGE)という概念を提唱している。】

TAGEはAGEs受容体のRAGEを介して,糖尿病血管合併症の発症・進展に強く関わっていることを解明してきた。

最近では,心血管病,非アルコール性脂肪肝炎,アルツハイマー病,がん,不妊症などの多様な疾患にも関与することが示されており,世界に先駆けて生活習慣病の発症・進展における“TAGE病因説”を提唱した(図2)。

■TAGEが体内で生成/蓄積してくると様々な生活習慣病を発症・進展することが明らかになってきているが,体内でのTAGEの生成/蓄積は私達の日々の食生活に密接に関連していることが分かってきた。

すなわち【私達が毎日食べているご飯やパン,麺類などの主食の他,飲み物やお菓子などに沢山含まれている果糖ブドウ糖液糖(HFCS)/砂糖などの糖類の過剰摂取や,飲食品の加熱調理加工の過程で産生される食事性AGEs(主に,ブドウ糖や果糖由来AGEs)の摂取過多によって,体内でTAGEが生成/蓄積されることが明らかになりつつある。】

■市販の飲食品には,TAGEの生成/蓄積の大きな要因となる糖分が多量に含まれているが,アメリカ心臓協会AHAや世界保健機関WHOは「健康な生活の維持のため1日の糖分(HFCS/砂糖)摂取量を25 g以下に抑えるべきである」とするガイドラインを発表している。

そこで,飲料中の糖質含有量を測定したところ,上記の基準値を超すものが半数近くに達することが明らかになった(図3)。

また,これらの飲料の習慣的な摂取は肥満や糖尿病のリスクを高めることから,WHOは2016年11月に「糖分を多く含んだ飲料に課税するよう」各国に呼びかけを行なった。

■これらの、市販の飲料は多量の糖分を含む他,製造加工の段階で糖化反応を起こして色々なAGEs,特にブドウ糖由来のGlu-AGEsを沢山含んでいることが明らかになってきた(図4)。

【AGEs含有量の多かった飲料としては,乳酸菌飲料,炭酸飲料,果汁入り飲料,スポーツドリンク,果実ミックスジュースなど,特に成分に蛋白質含有量の多い脱脂粉乳とHFCSを含む乳酸菌飲料に多くのGlu-AGEsが含まれていたが,これは見た目や味を美味しくするため,あえてAGEsを作った後に乳酸菌を培養している製品に見られた。

実際に,高AGEs含有乳酸菌飲料を正常ラットに投与すると,肝臓内でGlu-AGEsの蓄積をきたすのみならず,飲料中には含まれていないTAGEの生成/蓄積を引き起こす他,RAGEの発現量を増大させてTAGEの作用を増強させることが明らかになっている。】

【一方,食品類では食品分類法による菓子(スナック類),ドライフルーツ,ケーキ,穀物(そば),調理加工食品などでGlu-AGEs量が高く,特にリジン含量の多い大豆粉や小麦粉と糖類やドライフルーツを成分に含む「栄養機能食品」や「栄養調整食品」,「ドーナツ」などのスナック類に多量のGlu-AGEsが含まれていることが明らかになった(図5)。】

『Toxic AGEs (TAGE) 病因説からみた生活習慣病予防の新戦略?食事性AGEsおよび糖毒性の真実?』竹内正義




●糖化について、その2

■これらの結果より,生活習慣病の予防対策の一つとして,【糖分やカロリーだけでなく,加熱調理加工に伴って産生される飲食品中のAGEs量にも注意することが重要であることが分かってきた。】

実際に,腸管内で尿毒素を吸着除去する活性炭のクレメジンを慢性腎臓病患者さんに投与すると,投与後では飲食品中に多く含まれるGlu-AGEsの減少に伴って血中TAGEレベルも低下することが示されている。

■【加えて,血中TAGE量の変動は現代の生活習慣の特徴である過食,運動不足,糖類(HFCS/砂糖)の過剰摂取,食事性AGEsの摂取過多が引き金となって生じるメタボリックシンドロームやインスリン抵抗性,食後高血糖,脂質代謝異常,高血圧症などと強く関連していることが明らかになっている。】

私達が提唱している“TAGE病因説”は,種々の疾患の予防から病気の発症・進展に強く関わっていることが明らかになってきており,また血中TAGEレベルの評価は生活習慣病の予防のみならず,早期診断や治療の有効性を評価する有用なバイオマーカーとしての可能性も秘めているものと思われる(図6)。

■【この食習慣の特徴(ブドウ糖/果糖/AGEs高含有飲食品の過剰摂取)が,体内でのTAGEの生成/蓄積を促進し,生活習慣病の発症・進展に強く関与することから,生体内でのTAGEの生成/蓄積を抑えることが,未病や老化の促進も含めた生活習慣病予防対策の新たな概念を提示するものと思われる。】

<TAGE関連総説>

1)生活習慣病の発症・進展におけるToxic AGEs (TAGE)-RAGE系の関与:?新たな治療戦略?.金医大誌 37: 141-161 (2012)
http://www.kanazawa-med.ac.jp/koho/sousetsu_takeuchi.pdf

2)生活習慣病の発症・進展におけるToxic AGEs (TAGE) の関与:?新たな予防戦略? ?食事性AGEsおよび糖毒性の真実?.金医大誌 40 : 95-103 (2015)
http://www.kanazawa-med.ac.jp/koho/tage.pdf

3)Serum levels of toxic AGEs (TAGE) may be a promising novel biomarker for the onset/progression of lifestyle-related diseases. Diagnostics 6: E23 (2016)
http://www.mdpi.com/2075-4418/6/2/23

『Toxic AGEs (TAGE) 病因説からみた生活習慣病予防の新戦略?食事性AGEsおよび糖毒性の真実?』竹内正義
http://hiac.or.jp/cluster2/vsc_004




●糖化について、その3

■皮膚の糖化と老化

真皮中の主成分であるコラーゲンやエラスチンなどは、半減期が長いため糖化を受けやすい。

通常、コラーゲンやエラスチンは組織中の線維形成過程においてリジンやヒドロキシリジン残基を介して線維化架橋を形成する。

しかし皮膚組織で糖化が進行して蛋白のリジン残基にCML(カルボキシメチルリジン)が生成すると、蛋白のリジン残基では架橋形成が阻害される。このため糖化は皮膚の線維組織の安定性に大きな影響を及ぼす。

日光弾力線維症(solar elastosis)は日光露光部の真皮に異常エラスチン線維が蓄積する状態を指す。これは紫外線に長期間暴露されたことによる顔面エラスチンの糖化が原因と考えられている。

日光弾力線維症の状態は 30〜40 歳以降の健常者において、程度の違いこそあるものの誰にでも起こり、顔面のシワやタルミ形成に関与している。

健常者の顔面皮膚を抗CML抗体で染色すると、弾性繊維には 30〜40 歳代からCMLの蓄積が見られ、高齢になるとエラスチン線維全体に蓄積が見られるようになる(図2)。

CML化したエラスチンは好中球エラスターゼによって分解されにくく、凝集能の亢進、線維径の増加、弾性率や伸長率の低下を起こす。このためエラスチンの糖化は皮膚老化の原因となる。

■一方、皮膚では比較的ターンオーバー期間の短い表皮にも AGEs の蓄積が見られる。表皮に含まれるケラチン10 には CML が蓄積する(図3)。

■さらに皮膚最外層に位置する角層中にも CML の蓄積が見られる。 CML の蓄積量が多い角層は肌のキメが低下している(図4)。

さらに角層CML の蓄積が皮膚表面の溝の等方性低下、皮膚表面の算術的粗さ指数の低下に関連することから、角層中の CML 蓄積は老け顔への変化に関与していると考えられている。

また角層中CML の蓄積量の増加が皮膚弾力性の低下と関連すると共に、皮膚中蛍光性AGEs の蓄積量とも相関性を示す。

『糖化ストレスと皮膚老化』より
http://ebn.arkray.co.jp/discip…/glycation-stress/stress-07/…




●糖化について、その4

■抗糖化素材

【食後高血糖の抑制は糖化ストレス対策のひとつである。このため食事の糖吸収を穏やかにする作用や炭水化物を少糖から単糖へ分解する消化酵素阻害作用を有する素材は抗糖化素材になる。】

既に数多くの市販食品に配合されている水溶性食物繊維である「難消化性デキストリン(製品名:ファーバーソル)」(松谷化学)は食事の糖吸収を穏やかにして、食後血糖値の上昇を抑制する作用を有する。

また「グァバ葉ポリフェノール(製品名:グァバフェノン)」(備前化成)、豆鼓エキス(日本サプリメント)、「小麦アルブミン(製品名:小麦アルブミンNA−1)」(日清ファルマ)、L-アラビノース(ユニチカ)などは、消化液中のアミラーゼ、αグルコシダーゼによる糖質分解作用を阻害し、食後血糖値の上昇を抑制する作用を有する。

【また食酢(酢酸)やクエン酸などの有機酸は、摂食物の胃内滞留時間の延長による消化・吸収の遅延作用などを有することから、食前の摂取により食事の糖吸収を穏やかにすることができる。これらの素材は血糖値対策の特定保健用食品素材としても利用されている。】

■糖化反応中間体や AGEs の生成を抑制する素材としては数多くの食品、化粧品素材が開発された。

食品素材では「混合ハーブエキス(製品名:AGハーブMIX)」(アークレイ)、「紫菊花(製品名:えんめい楽)」(ユニアル)、「桜の花エキス」(オリザ油化)、「マンゴスチンエキス(製品名:マンゴスチンエキス、マンゴスチンアクア」(日本新薬)、「ヒシ果皮エキス(製品名:ヒシエキス)」(林兼産業)、「混合ハーブティーエキス(製品名:UNAHATAKEハーブエキス)」(アンチエイジングコミュニケーション)などがあり、複雑多経路な糖化反応を様々なポイントで阻害する作用を有する。

これらの素材は経口摂取により血中や皮膚中AGEs の生成・蓄積を抑制することが確認されている。

■化粧品原料では「マロニエエキス」「セイヨウオオバコエキス(製品名:アブソレージ)」(一丸ファルコス)、「バラエキス(製品名:紅香姫)」(ニチレイ)、「ツボクサエキス(製品名:TECA)」「Pterocarpus marsupium樹皮エキス(製品名:トリコラシル)」(マツモト交商)などがあり、皮膚蛋白の糖化抑制作用を有する。

■また化粧品に配合されている糖化反応抑制素材は、各メーカー独自で研究開発されたオリジナル素材である場合が多い。これらには「ハマナス抽出液」(三省製薬)、「アルサージ」(ロート製薬)、「シソエキス」(資生堂)などがある。糖化反応抑制素材は AGEs の生成を防ぎ糖化ストレスの予防的対策になると考えられる。

■一方、既に蓄積した AGEs に対する分解作用を期待する抗糖化素材もある。 2009年にポーラが発売を開始した化粧品B.Aザ クリームに配合されている同社のオリジナル素材「ヨモギ抽出エキス(製品名:YACエキス)」は、蛋白中の AGEs生成により形成した架橋構造を分解し修復する作用の可能性が示されている。

同様に「ルイボスエキス」「レンゲソウエキス」(ポーラ)にも同様の作用が確認されている。これらの化粧品素材はコラーゲンゲル上に生成させた AGEs を分解するとともに、これらを配合した化粧品を連続使用することで角層中の AGEs の減少が報告されている。

また化粧品原料「シャクヤクエキス(製品名:ファルコレックス シャクヤク)」(一丸ファルコス)にも同様の作用が確認されている。 AGEs架橋分解作用は茶、ハーブ、野菜などの食品素材でも報告されている。

ザクロ果実中には AGEs架橋分解作用が確認されており、エラジタンニン類のtrihydroxybenzene 構造の関与が報告されている(図2)。しかしヒトが経口摂取した場合の作用については不明である。 AGEs架橋分解作用は既に蓄積した AGEs に対する分解・排泄作用として期待されるため、今後の糖化ストレス対策として期待される。

『糖化ストレス対策と課題』http://ebn.arkray.co.jp/discip…/glycation-stress/stress-16/…

『OPH(酸化蛋白質分解酵素)のAGEs分解活性増強剤』
https://astamuse.com/ja/published/JP/No/2015224202




●糖化について、その5

■食後血糖値の上がりにくい食事

1981年に Jenkins らは食事の糖質量が同量であっても、それぞれの糖質主体の食品で血糖値を上昇させる速度や程度に差異がみられることを観察した(図4)。

その後、彼らは糖尿病でない健康なボランティアを用いて62種類の食品を50 g摂取したときと同量のブドウ糖摂取したときの食後の血糖曲線下面積(area under the glucose response curve:AUC)を相対比較することによって、食品のグリセミックインデックス(glycemic index:GI)を求めて表示した。

以降、食品のGIは臨床現場において糖尿病やメタボリックシンドロームの食事指導における有効な情報の一つとして利用されている。

【一方、GIは糖質量を一定にして摂取した場合の糖質の「質」について血糖値への影響を示したものであるが、糖質を摂取する「量」によっても血糖値への影響が異なる。】

【このためSalmeronらは1回の食事で摂取される糖質の「質」と「量」を勘案した指標として、グリセミックロード(glycemic load: GL)を考案した。GLは食品の糖質量の割合を%で示し、その割合を食品のGIに乗じた値を算出する。】

■一般にGI値70以上が高GI食品、56?69が中GI食品、55以下が低GI食品とされ、低GI食品を摂取したときは、高GI食品摂取時と比べてAUCが小さいため、食後血糖値の上昇が穏やかになることが期待される。

【GI値は食品中の炭水化物量、精製度、食物繊維量、脂質量、蛋白量、加工度などによって異なる。また、本来は炭水化物50 gを摂取した際の血糖値上昇の度合いを、同量のブドウ糖(グルコース)を基準食として100とした場合の相対値で表した指標である。

しかしGI値として示されている情報には、基準食としている食品の種類(米飯、パンなど)や糖質量が異なるものがあるので注意が必要である。】

日本では日本Glycemic Index研究会(日本GI研究会)が包装米飯147 g(糖質50 g相当)を基準食とするプロトコル(統一手法)の実施を推奨している。

■また食品に食物繊維を添加することで食後血糖値の上昇を穏やかにすることができる。水溶性食物繊維である難消化性デキストリンは、炭水化物や単糖類と一緒に摂取すると水分で膨らみ、胃から腸への排出スピードを遅らせ、小腸で粘りのあるゲル状となって食物の拡散を妨げ、分解酵素が食物と接触しにくくなることで糖質の消化吸収を遅らせ、食後血糖値の上昇を抑制する。

難消化性デキストリンを配合した食品は、食後の血糖値の上昇を抑制する効果が期待される食品素材として、特定保健用食品等に利用されている。

■一方、食事における食品の摂取順序によっても食後血糖値の上昇レベルは変わる。200 gの米飯と60 gの野菜(サラダ)の両方を摂取する際、野菜を米飯よりも先に摂取した方が血糖値の上昇およびインスリンの分泌が穏やかになることが報告されている。

この結果の公表がきっかけになり、食べる順番に基づく健康法が注目されている。さらに食べる順番によらず、野菜、温泉たまご等の副菜をうどんや米飯に添えて同時に摂取することでも食後高血糖を抑制できることも報告されている。

■近年、血糖値の上昇に関与する食事中の炭水化物自体の摂取量を減らす糖質制限食が話題になっている。炭水化物は重要な栄養素の一つでもあり、極端な糖質制限が死亡リスクを高めるとの調査結果も出ているので注意が必要である。

『食後血糖値の上がりにくい食事』
http://ebn.arkray.co.jp/discipl…/glycation-stress/stress-12…

『Glycemic Indexes and Glycemic Loads for Common Foods』
https://nutritiondata.self.com/topics/glycemic-index

つづく

●食べ合わせ、順番、食べる量、タイミング(その前後に運動するか否か)など色々あるけど、とりあえず低GI&低GLの食品は好ましい。




糖化について、その6

『主な食品における終末糖化産物(AGEs)の含有量』-マウントサイナイ医科大学の研究者による549食品のAGEsの含有量のうち、主な食品に関する一覧表-
http://expres.umin.jp/mric/vol.081_ONISHI.pdf




●糖化について、その7

■性ホルモンの耐糖能への影響

女性ホルモンであるエストロゲン,プロゲステロン,男性ホルモンであるアンドロゲンは耐糖能に影響を及ぼす。一般にエストロゲンはインスリン感受性を上昇させ,プロゲステロンはインスリン感受性を低下させる。

インスリン抵抗性が形成される機序としては,

@エストロゲン不足によるインスリン情報伝達を介したインスリン抵抗性

Aアンドロゲン過剰やエストロゲン不足による内臓脂肪蓄積を介したインスリン抵抗性,に大別される。

閉経後には内臓脂肪蓄積の傾向が認められ,内臓脂肪蓄積の程度は年齢だけでなく閉経後期間にもよく相関する。

ただし,現状ではホルモン補充療法(HRT)の糖代謝に対する影響については一定した見解が得られていない。

アンドロゲンと耐糖能異常については血中テストステロン濃度が低い男性ほど糖尿病を発症しやすいことが指摘されている。

またテストステロンは体組成の重要な決定因子であり,男性において脂肪蓄積の程度は血中のテストステロン濃度と逆相関する。

高濃度の外因性テストステロン投与は動脈硬化,糖尿病のいずれも増悪させる可能性が高いが,性腺機能低下症の男性にテストステロンを投与すると体脂肪の増加が抑制されることからも生理的濃度のテストステロンはむしろ防御的に作用する可能性がある。

■女性のライフサイクルと耐糖能

女性特有の思春期,性成熟期,妊娠・出産期,更年期以降(閉経期)においてインスリン分泌およびインスリン抵抗性は変化し,糖代謝異常の発症に関わる。

女性においては肥満・耐糖能異常・高血圧症・高コレステロール血症・高中性脂肪血症・肝機能障害の頻度は年齢区分が高いほど増加する。

男性においても耐糖能異常・高血圧症は加齢とともに増加するものの,その他は壮年期にピークをもち60歳以降ではその頻度は低下する。

このことからも女性においては,加齢が生活習慣病発症の重要なリスクの一因であると考えられる。また,糖尿病女性に関しては,月経や妊娠・出産による性ホルモンの変化による血糖値が変動するため,注意を要する。

基本的に性周期の低温期と高温期はそれぞれインスリン感受性の良好な時期と不良な時期にあたり,黄体期にはインスリン分泌が増大し月経前に血糖が上昇するパターンをとる。

中略

女性ホルモンの分泌は 40 歳頃から低下しはじめ,やがて閉経に至る。閉経によるエストロゲン欠乏は,インスリンの分泌低下とともに末梢組織でのインスリン感受性の低下をきたし,さらに更年期の女性では運動不足や体重増加の因子も加わり血糖コントロールが増悪する。

『糖尿病における性差医療 -血糖-』奥山 朋子 寺内 康夫https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/56/8/56_522/_pdf/-char/ja




●糖化について、その8

■耐糖能と性差および体格差

日本人は欧米白人に比べ,インスリン分泌能が弱い遺伝的素因をもつ者が多く,わずかな生活習慣の乱れから容易に高血糖になると考えられている。

...

食後高血糖は肥満や糖尿病の他,大血管障害の重要なリスク因子になる。大血管障害の機序としては,

食後高血糖が酸化ストレスを増強させるため血管内皮機能が障害され,一酸化窒素の産生が低下し,炎症反応を惹起してプラークの不安定化を促進させること,

また高血糖そのものが体内のタンパク質等と反応して終末糖化産物を形成し,血管障害や動脈硬化を促進させることなどが挙げられる。

■特に中年者を対象に多くの研究が行われており,2 型糖尿病患者の一等親血縁者である中年男女に経口糖負荷試験(OGTT)を行った結果,

耐糖能異常は女性の方が一般的に見られ,また女性は空腹時血漿血糖値(FPG)が男性より低かったものの糖負荷 2 時間後血漿血糖値(2hPG)が高く,

FPG?2hPG増加量が有意に高かった非糖尿病の中年男女を対象に OGTT を行った結果,男性は女性よりも FPG とヘモグロビンA1c(HbA1c)が高く,女性は 2hPG が男性より高かった,等の報告が見られる。

一方,正常血糖値の中年男女に OGTT を行った結果,血糖上昇曲線下面積は女性の方が小さく,年齢と Body Mass Index(BMI)を考慮するとインスリン感受性およびβ細胞機能は女性の方が有意に高かったとの報告も見られる。

また,耐糖能が正常な中年男女に OGTT を行った結果,グルコース吸収パターンは血漿中のグルコース量および体格と有意な相関を示し,腸内グルコース半減期は男性よりも女性の方が有意に遅く,身長と負の相関が認められた。

【経口摂取されたグルコースは腸管から血中に吸収されるが,腸管の長さが吸収速度に影響する。腸管は長身であるほど長い傾向にあり,女性は腸管長が男性より短いため,同量のグルコースを摂取した場合に血中へのグルコース吸収が遅れ,高血糖が持続する一因であることが示唆されている。】

■一方,若年者を対象とした研究は少ない。中島・笠間 は,平均年齢 19 歳の健常男女を対象に50gグルコースまたは 200g米飯を経口負荷したときの血糖値変動曲線の性差を検討し,

【同種同量の食物を摂取した場合,男性より女性の方が食後血糖値が上昇しやすく,さらに女性の中でも体格の小さい者の方が食後血糖値が上昇しやすい傾向が示されたが,中年者の場合に見られたFPGの性差は若年者においては認められなかったと報告している。】

【以上のように,食後血糖値の変動には性差・体格差があり,男性より体格が小さい女性は一般的に男性より食後血糖値が高くなることが報告されている。】

【《ここ重要?》この理由として骨格筋量の違いが示唆されていることから,同性間でも骨格筋量(率)の差により食後血糖値変動に差異が生じる可能性が考えられる。】

『若年女性の体格が食後血糖値変動に及ぼす影響』寺沢 なお子 木下恭宏

https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/…

●性差、年齢に関係なく、適度な筋肉をつけておくと良いことが多い。




●糖化について、その9

■最初にとる食事は、次にとる食事による血糖上昇にも影響する

セカンドミール効果(second meal phenomenon)とは、GIの提唱者であるジェンキンス博士(トロント大学)が1982年に発表した概念。

ジェンキンス博士は、最初にとる食事(ファーストミール)が、次にとった食事(セカンドミール)の後の血糖値にも影響をおよぼすことを、「セカンドミール効果」と定義し、提唱している。

食物繊維の多いマメ科植物(大豆など)を含む食事は、粘質物が消化・吸収を遅らせ、食後の血糖の上昇をおさえる。さらにマメ科植物(大豆など)を含む食事は、次の食事による血糖コントロールを改善する。

このセカンドミール効果を検討するために、このような試験を行った。朝9時に下記の第1食を下記3グループにそれぞれ食べてもらった。

1大豆焼菓子
2米菓子「せんべい」
3何も食べない(水のみ)

続けて第2食は、3時間後の昼12時に、3グループ共通で市販栄養食品を食べてもらった。その後、食後血糖を測定したところ、図のような結果が得られた。

大豆焼菓子を食べたグループは、せんべいを食べたグループに比べ、食後240分〜300分の血糖値がはるかに低いという結果になった。また何も食べなかったグループと比べても、大豆焼菓子グループのほうが低い結果であった。

これは、大豆焼菓子を第1食目に食べたことで糖の吸収が抑制された、もしくは血中からの糖の代謝を促進するホルモンが多く分泌された為と考えられる。

■朝食を食べた場合,昼食後(2 回目の食事後)の血糖値が朝食後より低くなる現象をsecond meal phenomenonというが,これは 2 回目の食事がヒトの骨格筋におけるグリコーゲン合成促進に関与することによる。

【すなわち夜間の絶食中に血漿中に増加する遊離脂肪酸(NEFA)は,筋肉へのグルコース輸送を抑制することによりインスリン抵抗性を誘発し,筋グリコーゲン合成の速度を低下させるが,朝食摂取により分泌されるインスリンが血漿NEFAを抑制することにより,昼食後の糖代謝を促進して筋肉中のグリコーゲン貯蔵を増大させることが示唆されている。】

従って,【血液中のNEFAが多くインスリン感受性が低下した状態で多めの食事を摂ることは食後高血糖を誘発しやすいと考えられ,このことからも朝食を抜き昼食で食べ過ぎるような食生活は改善する必要がある。】

■また,朝食を抜く傾向にある者ほど「食事は満腹になるまで食べる」傾向にあった。朝食を抜くと空腹感が高まることからその後の食事で食べ過ぎると考えられ,食後高血糖や肥満のリスクが高まる。

※S?S群は体脂肪率が他の2群に比べてやや高いが,このような食習慣が影響している可能性が考えられる。また,「腹八分目を心掛けている」者は,それについて「あまり考えない」者や「腹いっぱい食べる」者に比べ HbA1c が低い傾向にあったという報告も見られる。

一方,「食べるスピード」は,有意差は認められなかったものの※H?H 群が速い傾向にあった。自己評価に基づく「早食い」習慣は,耐糖能異常や 2 型糖尿病の危険因子になると報告されていることから,改善が望まれる食習慣である。

また,現在〜過去のダイエット実施回数は,弱いながらも全身骨格筋率と負の相関が認められ,ダイエットは筋肉を減少させる可能性があることが改めて示された。

※標準身長?標準骨格筋率群(以降 S?S(Standard?Standard)群),標準身長?高骨格筋率群(以降 S?H(Standard?High)群),高身長?高骨格筋率群(以降 H?H(High?High)群)

『セカンドミール効果について』https://www.otsuka.co.jp/health-and-illne…/glycemic-index/…/
http://www.gikenkyukai.com/dl/JASGI7.pdf
『若年女性の体格が食後血糖値変動に及ぼす影響』寺沢 なお子 木下恭宏
https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/…




●糖化について、その10

■ケトジェニックダイエットについて

ケトジェニックダイエット(KD)はてんかんの効果的な治療法であり、他の治療法と同様に副作用がないわけではない。

引き起こされる副作用は、食事の構成(高脂肪、低炭水化物、タンパク質)の食事に起因する代謝変化に関連している。

短期的な副作用については十分に文書化されているが、長期的な副作用は十分に文書化されていない。

■現在分かっているケトジェニックダイエットについての長期モニタリング

主な副作用と、推奨された行動:

・高脂血症 (脂肪の種類を変え、オイルを増やし、 飽和脂肪を減らす。タンパク質の種類を変更し、コレステロールを減らす。オメガ脂肪酸を追加する。脂質の比率を下げることを検討する。)

・心臓疾患 (セレンを補う)

・成長不全 (タンパク質とカロリーを増やし、その後の変化を観察する。身長の継続的な減速?脂質の比率を下げる?、内分泌学の評価 IGF-1、GHなど)

・胃腸障害 (H2遮断薬、ポンプ阻害薬。水分を増やす。オイル摂取量を増やす。ポリエチレングリコール、 食物繊維を追加。浣腸。腹痛の場合はアミラーゼとリパーゼ。)

・腎結石症、尿酸結石 (水分補給を増やす。クエン酸塩を追加して尿PHを中和させる。腎臓学/泌尿器科の評価。)

・電解質、ビタミン、ミネラル、微量ミネラル不足 (現在の食事の食事分析とサプリメント。 正しいサプリメンテーション。)

・骨の健康 (DEXA(二重エネルギーX線吸収法)で調べる。カルシウム摂取量、ビタミンDレベルおよび摂取量、マグネシウムレベルおよび摂取量を確認。異常な場合は、サプリメントで調整する。)

『Long-term monitoring of the ketogenic diet: Do’s and Don’ts』A.G. Christina Bergqvist
https://www.insanemedicine.com/…/Long-term-monitoring-of-th…




●糖化について、その11

■ケトジェニックダイエットがヒトの健康に及ぼす影響について

糖尿病患者数は増加の一途をたどっており,Ketogenic diet(KD)はその独自性や特殊性から薬剤治療と異なる治療食としての効果が期待されている.

また癲癇やがんへの効果も報告されつつあるが,KD の生体にどのように作用し,影響を与えるかについての生化学的・分子生物学的な報告が少ないことと相まって,KD の使用には疑問が残らざるをえないのが現状といえる.

またKD が生体に及ぼす影響についても多くが事象論にとどまっているが現状である. 本稿では,KD の作用メカニズムとして近年の報告を紹介し,その有効性をエビデンスに基づいて示したい.

■KDの脂質代謝改善およびダイエット効果ついて

KDが生体に与える影響の分子基盤を,実験動物などを用いて生化学,分子生物学的に検討している報告は意外と少ない.また,KDにダイエット効果があることははいまだ詳細に解明されていない.

【タンパク質摂取量が多いことによる食欲減退,脂質代謝の亢進,糖原性アミノ酸による糖新生経路の活性化による代謝変化が,体重の減少に関与するなど諸説ある.】

特にタンパク質を起源とする糖新生には400から600 kcal/dayのエネルギーを消費されたと計算されることが,その根拠となっている.また,ケトン体によるghrelinやleptinのなどのホルモン作用の変動などの報告もされている.

■他方で脂質代謝への変化に着目した研究結果も報告されており,KennedyらはKD をC57/BL6 miceに7週間負荷し解析を行った結果では,KDが肝臓でケトン体合成を亢進し,脂肪酸分解を促進することや,脂肪酸合成を抑制することを明らかにした.

これらの結果から,KDは脂肪酸合成を抑制し,脂肪分解を促進することで,ダイエット効果をもたらすものと考えられている.

興味深いことに,脂肪酸代謝に関するこれらの遺伝子発現パターンは絶食(カロリー制限)とは違う挙動であったことから,この2つの生理状態は必ずしも一致していないことが示されたことも興味深い報告である.

『ケトジェニックダイエットがヒトの健康に及ぼす影響について』山本祐司
https://www.jstage.jst.go.jp/…/kagakutosei…/54/9/54_650/_pdf




●糖化について、その12

■がんへの効果(図4)

1987年にはTisdaleらが,KDが腫瘍の縮小作用をもつ可能性についてマウスを用いた実験系で報告している.

そのほか,大腸がん,胃がん,前立腺などに対しても有効性が報告されている.がん細胞では,正常細胞と比較して嫌気的条件下で生存するために代謝を大きく変化させることが知られており,Warburg効果に代表される嫌気的な解糖によるグルコースの消費に依存してATPの産生を行うようになる.

【また,同時にペントースリン酸経路も活性化され,DNA複製に用いられるリボース生合成に寄与する.KDではグルコースの利用が制限されるうえ,ペントースリン酸経路の基質となるグルコース6-リン酸量も減少するためにこの経路も阻害されることから,がんが生存するのに必要なエネルギー確保が難しくなるとされている.】

またケトン体を基質としてアセチルCoAがミトコンドリア内でTCAサイクルから電子伝達系を経てATP産生を行うため,活性酸素(ROS)の産生が増大する.

細胞培養実験系でケトン体を添加した細胞中のグルタチオンの低下および過酸化脂質が増大することが報告されていることからも,がん細胞において,KDが酸化ストレスを介して細胞の増殖を抑制する可能性が示されている.

【さらに,多くのがん細胞でミトコンドリア機能障害と個数の減少が観察されているが,β-ヒドロキシ酪酸が上昇する条件ではミトコンドリア機能の回復が報告されており,KDはがん細胞増殖能の低下に寄与しているものと考えられている.】

■副作用について

KDが糖尿病や肥満の改善に有効だという認識が高まっている一方で,それを否定する論文や,ほかの既存の糖尿病治療と比較して良好な血糖のコントロールを示さないことを報告する論文も存在している.

【また,KDを摂取することによる弊害も示されており,急性の副作用については,無気力感やむかつき感,さらに吐き気などがある.

KDはケトン体生成に伴いアシドーシスおよび呼吸機能の低下や意識の低下,脱水症状などを引き起こす原因となる.】

■長期の副作用としては、LDL-コレステロール値の増加,セレニウムや銅,亜鉛などの微量ミネラル欠乏、骨のミネラル量の減少なども報告されている.

また代表的な症状としてアシドーシスや高尿酸血症,腎臓結石や尿結石などが挙げられている.

■Jornayvazらは,KDがエネルギー産生を増加させ体重増加を防ぐ一方で,肝臓インスリン抵抗性を引き起こすことを報告している.

この報告では,脂肪肝を引き起こすDGの増加がインスリン受容体の下流因子であるIRSのリン酸化レベルを低下させ,インスリンシグナルの阻害を行うことも示されている.

多くのKDによる動物実験では,脂質の占めるエネルギーが全体の90%ほどの飼料が用いられており,この結果はKDの「高脂肪な食事」による悪影響の存在を露呈したものである。

『ケトジェニックダイエットがヒトの健康に及ぼす影響について』山本祐司
https://www.jstage.jst.go.jp/…/kagakutosei…/54/9/54_650/_pdf




●糖化について、その13

■抗糖化ストレス緩和のために強化したい機能

@ホルモン年齢

...

・成長ホルモン(GH)、インスリン様成長因子(IGF-1)

GHやIGF-1の血中濃度は30代前後から低下し、生命予後やQOLの低下の予測因子となっている。

消化管機能、免疫機能、創傷治癒力、生殖機能、骨代謝などの変化は、GH/IGF-1分泌量変化が原因となる。

2型糖尿病の初期やメタボリックシンドローム患者などでインスリン抵抗性が増大し、空腹時インスリン値が上昇した状態では、GH分泌は抑制傾向になるにもかかわらずIGF-1の代償的増加が見られる。

運動介入によりインスリン抵抗性が改善すると、この代償的増加はなくなり、IGF-1は元のレベルまで低下する。

・DHEA-s

【DHEAは体内で最も豊富に存在するステロイド系ホルモンで、これを原料に性ホルモンや蛋白同化ホルモンなど50種類以上のホルモンが作られる。】

DHEAは免疫力やストレスに対する抵抗性を維持し、糖尿病、高脂血症、高血圧、骨粗鬆症などの生活習慣に対して予防的に作用する。

【DHEAはインスリン抵抗性を改善させる作用を有する。長寿地域の住民では、血中DHEA-sが高く、インスリン抵抗性が低く保たれ、糖代謝が良好な場合が多い。】

・メラトニン

メラトニンは脳の松果体から夜間に分泌されるホルモンで、睡眠と覚醒の周期を司る。それ自体に抗酸化作用があり、血液脳関門を通過することから、睡眠中に脳神経細胞を酸化ストレスによる傷害から防御する役割がある。

【メラトニンは細胞内シグナル伝達においてインスリンとクロストークしている。(※クロストークとは、生物学で、あるシグナル伝達経路が情報を伝えるときに他の伝達経路と影響しあうこと)】

インスリンおよびメラトニン刺激によるIRS-1のリン酸化はグルコース移送、グリコーゲン合成、中性脂肪分解抑制の方向に作用し、体重や糖代謝の制御を行っている。

『糖化による疾患と抗糖化食品・素材』監修 米井嘉一

●【これらすべてのホルモンを刺激できる方法をご存知ですか?

ウエイトトレーニングです!

厳密には、規則正しい食事→ウエイトトレーニング→睡眠のサイクルです。】

つづく




●糖化について、その14

■A筋年齢

一般的な日常生活では、筋量は年間1%ずつ衰える。骨格筋の機能年齢を表す筋年齢は握力などの筋力と、身体の除脂肪体重から算出される。

...

加齢に伴う衰えが顕著な部位は大腿と体幹(腹筋と背筋)である。

【《超重要?》骨格筋は体重の半分を占める最大の器官で、ブドウ糖の約80%は骨格筋へ取り込まれる従って、筋年齢は糖代謝に大きく影響する。】

■筋細胞がブドウ糖を利用するためには様々なシグナル伝達経路があり、糖輸送担体(GLUT-4)が関与する。

インスリン依存性経路では、インスリンが筋細胞表面のインスリン受容体に結合すると、GLUT-4は細胞質から細胞膜へ動員され、細胞膜でブドウ糖を通過させる役割を果たす。

インスリン非依存性経路では、骨格筋収縮という機械刺激がAMPKを介して、GLUT-4が動員される。

■2型糖尿病のようにインスリン抵抗性増大状態では、骨格筋の総GLUT-4量は正常であるが、インスリン刺激による細胞質から細胞膜へのGLUT-4動員が低下する。

【《超重要?》すなわちインスリン抵抗性増大という体質変化には骨格筋量の減量が大きく関わっているのである。】

【インスリン抵抗性が増大し、インスリンからのシグナル伝達経路が障害されている状態でも、運動により血糖管理を改善させることができる。】

【食後高血糖を防ぎ、AGEs形成を軽減させるために筋肉負荷トレーニングにより、筋肉量を維持あるいは増強することが重要である。】

『糖化による疾患と抗糖化食品・素材』監修 米井嘉一

●【そうなんです!!!!!

ウエイトトレーニングはめちゃくちゃ身体に良いんです!!!!!

勿論、どこまでやるかは目的によりけりですが、習慣的にウエイトトレーニングを行うことによって得られる恩恵は計り知れません。

《要注意?》正しくやった場合に限りです。正しく行わないと身体を壊しますよ(^o^;)。




●糖化について、その15

■まとめ

糖化を防ぐには

・抗糖化素材を取る(その4参照)

・食後高血糖を防ぐために、食品に含まれるGI値、GL値を知っておくこと。それらを考慮した上で、食べる量、食べる順番、食べ合わせ、食物繊維の摂取などの工夫をすること(その5参照)

・AGEsの含有量の高い食べ物の摂取量を控えること(その6参照)

・どか食いしない(その9参照)

・ケトジェニックダイエットには副作用がある。行う場合は、副作用を考慮して、不足しがちな栄養素を補完、摂取内容を調節するなどして対処したい(その10参照)。

・ケトジェニックダイエットは、短期決戦のダイエットには向いているかもしれない(その11参照)。

※ただし、肝臓インスリン抵抗性を引き起こす可能性があるので注意(その12参照)。

・ケトジェニックダイエットは、糖を制限することにより、がんが生存するのに必要なエネルギー確保を難しくする。また酸化ストレスを介してがん細胞の増殖抑制、ミトコンドリア機能回復によるがん細胞増殖低下に寄与している可能性がある(その12参照)。

・メラトニンとインスリンは影響しあっている。例えば、睡眠不足だとインスリン感受性は低下し、肥満になりやすい。質の良い睡眠を促せるような環境は整えたい(その13参照)。

・そして、最後に一番重要なのがウエイトトレーニング。

ウエイトトレーニングは、ホルモンなどの内分泌、インスリンを使う経路、使わない経路からも糖代謝に影響を与える。

またインスリン抵抗性(感受性が低い状態)が高い状態においても効果はあるし、食後高血糖の抑制、AGEsの形成軽減のためにもトレーニングは大切です(その14参照)。

●ケトジェニックに関してはメリットもデメリットもあるから目的などに合わせて内容や期間などを考慮する必要があるけど、

低GI&低GL、食べる量、順番、組み合わせの調節、トレーニング、睡眠の質を高めていくことはリスクも少ないので、積極的に行っていけば良いと思います。