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●浅部(グローバル)筋と深部(コア)筋について

■脊椎が十分に安定していないと、四肢の運動によって脊椎が不安定になる場合がある。

四肢の運動を司る上肢あるいは下肢の筋が収縮すると、その力が伝わり、脊椎の構造およびこれを支える軟部組織に過度の負荷がかかるような脊椎の動きが生じる。

また股関節、肩、頸部の筋系で柔軟性や筋力のバランスが崩れると、脊椎に左右非対称性の力が加わり、姿勢に影響が及ぶ。

体幹にある、浅部(グローバル)筋と深部(コア)筋も、これらの障害を防ぐために、多くの分節に別れ脊椎の安定性をもたらす重要な役割を果たしている。

■浅部(グローバル)筋は、脊椎の多くの分節にまたがり、脊椎を支える大きな張り綱の役割を果たしている。重心が移動する体幹に加わる外部荷重に対応するためである。

浅部筋は、脊椎に直接付着するようなものがほとんどないため、張り網のような構造で脊椎を押し縮める方向に作用する圧縮荷重をかける構造で、脊椎の個々の分節を安定させている。

個々の分節が不安定になると、この分節領域の随意的に動かない組織に負荷が加わり、浅部筋の張り網構造による圧縮荷重が、逆に脊椎に苦しい状態をもたらすことになる。

■深部(コア)筋は、脊椎の分節にそれぞれ付着しており、運動の方向に関係なく働く。

個々の分節に動的安定性の保持をもたらし、運動の限界点で動かない組織に負荷がかからないよう、各分節を安定した位置に維持する働きがある。

■筋持久力の観点からみると、脊柱を通常の状態で安定させるためには、個々の筋に最大収縮力の10%程度を発揮させるだけで十分である。

しかし、脊椎を他動的に保持する関節円板や靱帯に障害や弛緩があると、保持力が低下するため、さらなる筋力を要する。

■呼吸筋

呼吸は姿勢や安定性に影響を及ぼす。

・内肋間筋は、呼気時に胸郭を狭める。ただし、内肋間筋前部繊維は吸気時に働く。

・外肋間筋は、吸気時の胸郭の拡張

・横隔膜は、腹横筋と共同して安定化機能に寄与する。

■腹筋群

・浅部筋は、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋。

・深部筋は、腹横筋、多裂筋(この2つは急激な四肢の運動により姿勢が崩れると最初に活発になる)。また腹圧を高めてコルセットの役割を果たすのは横隔膜と骨盤底筋群である。

※以前『呼吸、インナーユニット』の記事でも紹介したが、横隔膜、腹横筋、骨盤底筋、多裂筋はユニット(ひとつの単位)として動く。

腹筋群が収縮すると、骨盤底筋群全体が反応して収縮するのだが、協力して動く筋として以下が挙げられる。

・腹横筋 ー 骨盤底筋(恥骨尾骨筋)
・腹斜筋 ー 骨盤底筋(腸骨尾骨筋、尾骨筋)
・腹直筋 ー 骨盤底筋(恥骨直腸筋)

■脊柱起立筋と多裂筋の安定性

・浅部筋は脊柱起立筋。

・深部筋は多裂筋。多裂筋は仙骨を前屈させる働きがあるので、仙骨を後屈させる肛門挙筋、尾骨筋と協力して仙骨の位置を安定させる。

『姿勢の教科書』竹井仁

●どうすれば良いか?

浅部(グローバル)筋と深部(コア)筋、どちらも大切。どちらか両極端なアプローチになっているケースが少なくないように思います。前者優位は怪我が多く、後者優位は強くならない。

【浅部筋で脊椎を押し縮めるような方向に圧縮荷重をかけて、脊椎の各分節を安定させ、深部筋によって各分節を安定した位置に維持しておくのが理想。】

筋肉は外であろうが、中であろうが、総動員して使えるだけ使う。機能させてない、していない分はもったいないように思います。

勿論、全身のバランスを取りながらです。

身体の使い方が上手な人は意識か無意識かは別として、細かい部分まで神経が行き届いており、うまくその状態を維持しながら積み上げていってるように思います。