代償相対的柔軟性
”代償相対的柔軟性(compensatory relative flexibility)”は、サーマン(Sahrmann,2002)によって提唱された概念であり、特定の運動範囲に達するために身体の抵抗の最も少ない部位が動くという前提に基づいている。このポイントは柔軟性と最も関連する。
漕ぎ手がキャッチポジションで、ボートの底にいる状態を実例として示す(Mallac,2003)。
↓キャッチポジション
このポジションは、身体からオールへの力の伝達が不可欠となる推進力を生み出す。このとき、漕ぎ手の手(とオール)は脚を超えて前へ出なければならない。
もし漕ぎ手の臀部の柔軟性が極端に低下しており、前傾(股関節屈曲=プリケツ)ができないようならば、漕ぎ手は股関節の柔軟性不足を補うため身体の他の部位を動かさなければならない。漕ぎ手は腰部や胸部で代償した屈曲をする。
背部は”相対的柔軟性”をもち、すべての運動範囲に貢献する。
しかしながら、その背部の代償とした動きは有害であり、結果として、腰部や胸部の機能障害や痛みを誘発する可能性を伴う。
『柔軟性の科学』 マイケルJ.オルター