■風邪(かぜ症候群)とは?
通常の風邪は上気道の粘膜にウイルスが感染することによって起こる。 風邪は秋や冬に引きがちだが、これは風が冷たい(寒い)ことによ り、血管が収縮してウィルスが排出されくくなるということ、 低温、低湿度の環境において風邪のウイルスが繁殖しやすくなることによる。例外もあるが、通常高温多湿の環境では風邪のウイルスは生存しにくい。
風邪の原因となるウイルスは200種類以上あるといわれており、症状は頭痛、喉の痛み、くしゃみ、鼻づまり、涙目な
どが挙げられる。通常風邪は体内から1週間程度で一掃出来るのだが、症状が悪化す
ると気管支炎、中耳炎、副鼻腔感染症、肺炎など深刻な病気に発展する可能性もある。インフルエンザは通常の風邪と同様、上気道がウイルス感染すること
によって起こるのだが、インフルエンザの場合はウイルスの種類が
異なる。
■予防
では風邪を引かないようにするための予防方法について見ていこう。
●手洗い、うがい
:風邪のウイルスは手をはじめとした皮膚の表面、粘膜などに数時間に 亘って生存し続ける。 ウイルスは先程も言ったように上気道の粘膜から感染するので、一
日を通して、まめに手洗い、うがいを心がけるようにしたいところである。(特に外出から帰宅した際、食事前など)
◇手洗い:手を洗う
前に気をつける基本的なこと。
・手が汚れたままの状態で素手でものを食べない
・手で目をこすらない
・手で鼻や耳など粘膜を触らない
・おしゃぶり、爪噛みなどをしない(電車の中、繁華街など、外に出ると風邪のウイルスが蔓延している為、手から粘膜に菌が入らないように注意する必要である。
◇うがい:うがいはのどに湿度を与え粘膜をコーティングする作用があるため、手洗いほどの効果がないにしろ風邪の予防として行うべきだろう。
・うがい薬の使用は一日3回程度までにしておくこと。理由はあとで抗生物質と一緒に説明するが、うがい薬に含まれる成分が体の中にある良い常在菌まで殺してしまい、かえって病原性のある菌の繁殖を許してしまうからである。
●ストレス
:風邪を引くときは、ある意味では自らが引き起こしている可能性がある。 というのは風邪を引く際には大抵免疫機能が低下している場合は多いからだ。
免疫機能低下の原因はストレス、睡眠不足、栄養不足、生活リズムの乱れ、オーバートレーニングなど自らのコントロールできる場合が多
いのが現実である。
●体を動かす :風邪の症状が軽いときは、ベットに横になり安静にしているより、軽
く体を動かす(散歩や低−中強度のエクササイズ)ほうが免疫能力を
高め、粘膜を強化するのに効果的である。風邪を引いていない時にでも免疫力を高めるため、適度な運動は行っておく必要があるとも言える。
ただし過度のトレーニングは逆効果になることもあるので注意しなければならない。過度の練習を行ったスポーツ選手などでは細胞内のグルタミン濃度が
低く、高ストレス状態にあり、この状態においてこれらの人々は気道 感染しやすいといわれている。
逆に免疫力が高い状態においては細胞内グルタミン濃度が高く、体が発達しやすい状態にあると言ってもいいだろう。
■風邪の症状を緩和させるサプリメント、ハーブ
風邪のために考えられる最善の方法は「予防」だが、風邪を引いてしまった場合に、その症状を緩和させる薬、サプリメント、ハーブは数多くある。
●エキナセア&ゴールデンシール:
風邪の症状が出始めた時に、免疫機能の亢進、ウイルスの増殖を防ぐ。成人であればスポイト一杯分を口に含み、5分間ほど口に含み、その後飲み込む。これを3時間おきに一日3日間。
幼児であれば、8〜10滴を口に含み、数分間口に含み、飲み込む。これを2時間おきに一日3日間。
エキナセア&ゴールデンシールは風邪、インフルエンザ、気管支炎だ
けではなく、菌による咽頭炎にも効果があるといわれている。 *ゴールデンシールは一週間以上使用し続けないこと。また心臓脈管
系、妊娠、授乳、糖尿病、緑内障などの症状があるときは掛かり付けの医師の指示に従って使用すること。
●エルダーベリー:
エルダーベリーは上気道感染、風邪による頭痛に対して効果を発揮す
るといわれている。エルダーベリーには細胞壁を守るフラボノイドが含まれ、発汗を促し風邪の熱による症状を改善させるといわれている。
●ビタミンC&亜鉛:
ビタミンC&亜鉛は風邪の諸症状(喉の痛み、頭痛、鼻がむずむずな ど)が出始めてきたときに摂取する。
ビタミンCは風邪のウイルスと戦うため、抗ストレスとして。亜鉛は免疫機能の亢進。
亜鉛の入った飴の摂取は効果的ですが、クエン酸、ソルビトール、マンニトールは亜鉛の吸収を妨げるのでこれらが一緒に入っているものは避けたほうがいいだろう。
このサプリメントも三時間おきに摂取することが薦められている。
●ビタミンA&カロチノイドコンプレックス:
ビタミンAは粘膜の炎症を抑える、免疫機能の向上として。
カロチノイドコンプレックスはビタミンAの前駆体、抗酸化物質として。
●その他、マイタケ、シイタケ、レイシ抽出物、オリーブ葉抽出物、 L-リジン、ユーカリプタス、キャッツクロウ、ジンジャー、レッドクロ
ーバー、ワイルドベリーなど、風邪の症状を緩和させる効果があると 言われるものは数多くあるが、とりあえず今回は代表的なものだけを挙げてみた。
■抗生物質について
抗生物質は本来、連鎖球菌性咽頭炎(連鎖球菌というバイ菌による咽 頭炎)など細菌感染の場合に使用するもので、ウイルス感染である風邪のときに使用しても仕方がない。ウイルスと細菌はしばし似たような症状を引き起こすが、治療法が異なるからである。(通常、風邪は体に抗体ができ時間が経てば治る。)
抗生物質は体内に存在する常在菌(体にとって良い菌)をも殺してしまい、体の防衛機能をも低下させるため、ウイルス感染の際に使用してはいけない。また抗生物質投与ではないが、抗菌石鹸、うがい薬は使用しす
ぎると本来悪い菌を殺してくれるはずの良い菌まで殺してしまうこと
になり、余計に菌が繁殖しやすい環境を作う。極度の潔癖はかえって、病原性のある菌の繁殖を促すことにもなるので適度にしたいところである。
参考 『Prescription for Nutritional Healing -Coldの項目』