STRATEGIC TRAINING SYSTEM

| トレーニングのホームへ | YYOKOTA.NETのホームへ |


慢性疲労症候群(CFS)の原因


A. ウイルス感染と慢性疲労


CFS患者では、のどの痛み、発熱とともに筋肉痛、脱力感などが見られるが、これらはEBウイルス、エンテロウイルス、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルスなどが挙げられる。多くの場合は、急性感染症として治癒している。

CFSに見られる特徴としてHHV-6(ヒトヘルペス6型ウイルス)やEBウイルスなど、潜伏感染ウイルスの再活性化がある。これらはストレスによる免疫低下で活動を再開し、慢性疲労症候群の引き金となる可能性がある。


B. 免疫異常

CFS患者では、アトピー性皮膚炎、湿疹、薬物アレルギーなどアレルギー暦を有する人が多い。

免疫異常には、抗核抗体陽性、免疫グロブリン異常、血中免疫複合体の増加、NK活性の低下、リンパ球のサブセット、機能異常、種々のサイトカイン異常などがあるが、CFSすべての症例に共通する免疫異常は見出されていない。


C. 内分泌異常

Demitrackらは、CFS症状が副腎皮質機能不全の症状に類似していることに着目し、視床下部、下垂体、副腎系ホルモンについて検討した。CFS患者では尿中カテコールアミンの上昇、抗利尿ホルモンの基礎値の減少、全身水分量の増加が見られた。

うつ病患者では血液中コルチゾールが上昇していることが多いが、CFS患者では減少していることが多い。またうつ病患者ではMHPG(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル-エチレングリコール)が増加しているが、CFS患者では減少していることから、うつ病とは異なる内分泌異常であることが示唆される。


D. アシルカルニチン代謝異常

カルニチンは長さ脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ必須物質であり、これが欠乏するとATP産生が低下する。

CFSで見られる易疲労感はエネルギー代謝異常が原因であると考えて検討したところ、CFS患者では遊離カルニチン濃度は正常であるが、脂肪酸が結合したアシルカルニチン(ACR)が減少していることが判明した。アシルカルニチンの血中レベルが疲労の程度と創刊することも明らかになっている。

アシルカルニチンは脳において興奮性の神経伝達物質(グルタミン酸、アスパラギン酸)の合成に利用されることも明らかになり、CFS患者脳での神経伝達物質の合成低下が臨床病態と関連している可能性がある。


●仮説

社会心理的ストレス→免疫異常→ウイルス感染の再活性化→サイトカイン(TGF-β、IFN(インターフェロン)など)の上昇→2-5AS経路の活性化→RNaseL(リボヌクレアーゼL)活性の上昇→発熱や強い疲労感

→セロトニン系、ドーパミン系などの脳・神経細胞の機能異常という経路とともに、TGF-βの異常産生→グルタミン酸、GABA(γアミノ酪酸)などの主要アミノ酸神経伝達物質の低下継続→慢性の疲労感

というメカニズムが想定できる。

『疲労の科学』より

 
 
 
Copyright : YUKI YOKOTA