■カプサイシンが自然発生高血圧ラットのIGF-1の血漿、組織内濃度に与える効果
カルシトニン-遺伝子関連ペプチド(Calcitonin gene-related peptide
(CGRP))は生体内、外においてIGF-1の生合成を増加させる。これは知覚ニューロンを刺激することによって、自然発生高血圧ラット(spontaneously
hypertensive rats (SHR))のIGF-1の生合成を増加させることを示唆している。
カプサイシンの投与によってCGRPとIGF-1の血漿、組織内濃度は著しく増加した。一方、バニロイド受容体-1活性の抑制剤で、カプサイシン拮抗薬であるカプサゼピンは正反対の結果を示した。
Harada N, Okajima K. Department of Translational Medical Science Research,
Nagoya City University, Graduate School of Medical Sciences, Nagoya, Japan.
■カプサイシンとその同族化合物の局所使用における、マウスの真皮のIGF-1レベルの増加とヒトの肌の弾力性向上の関連性
カプサイシンはバニロイド受容体-1(VR-1)を刺激することによって知覚ニューロンからCGRPの生成を増加させる。CGRPは生体内においては胎児の骨芽細胞のIGF-1の生成を増加させる。これはカプサイシンによる知覚ニューロン活性によってIGF-1の増加を促す可能性を示唆している。
0.01%のカプサイシンの局所使用はラットにおいて著しい真皮のIGF-1レベルの増加(30〜180分において、360分ではそれほどの増加は見られなかった)、健康な女性の被験者17名においては著しい頬の弾力性の向上が見られた(7日間)。
これらの所見は、カプサイシンの局所使用が真皮におけるIGF-1の増加によって、加齢に伴うホルモン不足による患者の有害な形態学的変化に対する治療として利用できる可能性を示唆している。
Harada N, Okajima K. Department of Biodefense Medicine, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, Kawasumi 1, Nagoya, Japan.