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●ビール酵母について、その1

■ビール酵母の特性とその新しい効用について

・ビール酵母(Saccharomyces cerevisiea )は、直径5?10μmの球形ないしは卵形の細胞であり、周囲を硬い細胞壁で覆われている。ビール製造において、原料(麦汁)からアルコールを作り出しているのがビール酵母である。

それ以外の目的でもビ ール酵母利用の歴史は古く、紀元前4世紀頃ギリシャの医師ヒポクラテスが焙焦酵母を婦人病に用いたといわれている。

1910年から1930年代にかけて世界各国でビタミンが次々と発見されたが、酵母はこれらの発見に研究材料として大きく貢献した 。

【酵母はB1を生合成することができる単細胞 の真核生物であるが、培地中のB1の吸収も行い、細胞内に多量のB1を蓄積する能力を持つ。我が国においても酵母のこのような性質を利用して、ビタミンB1が初めて単離された。】

大日本麦酒株式会社の橋谷らはビール酵母がビタミン類を豊富に含むことに着目し、こ れを薬用に用いるべく研究を重ねた末、乾燥粉末を製造することに成功し、乾燥ビ ール 酵母が1930 年「エビオス 」として発売され た。

■1932年には第五改訂日本薬局方にも収載され、本格的に乾燥ビール酵母が活用されるようになった。

ビール酵母の栄養成分を表 1 に示す。その特長は以下のとおりである。

@タンパク質が 約50 % と非常に豊富であり、アミノ酸組成 のバランスが良い。
Aビタミン類も豊富であり、ビタミンB群、特にB1が多い。
B微量ミネラルがバランスよく含まれる。
C細胞壁を形成するグルカン、マンナンといった食物繊維が豊富に含まれる。

現在日本薬局方には、乾燥ビール酵母の効能 はビタミンB群、タンパク質の必要量が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給と収載されている。

■また乾燥ビール酵母製剤であるエビオス錠の効能は「 食欲不振(食欲減退)、胃弱、胃部 ・腹部膨満感、消化不良、食べすぎ、飲みすぎ、胸やけ、もたれ(胃もたれ )、胸つかえ ,はきけ(むかつき、二日酔い、悪酔のむかつき、悪心 )、嘔吐、栄養補給、妊産婦 ・授 乳婦 ・虚弱体質者の栄養補給、栄養障害」である。

さらに、この他にも乾燥ビ ール酵母は整腸作用、鉄吸収促進や 妊娠ラットにおける鉄欠乏性貧血の改善効果などの機能を有することがこれまでの研究で確認されている。

https://www.jstage.jst.go.jp/…/79_KJ0000…/_article/-char/ja/ より



●ビール酵母について、その2

■最近の研究で注目したいのは、乾燥ビール酵母の肥満予防作用である。

ビール酵母の 長期摂取の影響を見るため、マウスに3週齢から16ヶ月間乾燥ビール酵母を摂取 させる試験が実施されている。

...

乾燥ビール酵母を5%添加した飼料と通常の 飼料を自由摂食で飼育した結果、試験期間を通じて雌雄ともに対照群と酵母群間に摂餌量には差がなかったが、体重と生頭器周辺の脂肪蓄積量に差が認められた。

一方、体長、血液生化学検査値には差が認められず、酵母の摂取による体重増加抑制は、成長阻害のような好ましくない作用ではなく、過剰な体脂肪蓄積の予防という健全な体重調節の結果である。

■また、高脂質食に乾燥ビール酵母を30%混合した餌を7日間摂取したラットにおいて 、高脂質食のみの群より有意に血液中の 脂質低下が見られ、臨床においても血清総コ レスロールが境界域の被験者において、1 日 7.1g の乾燥ビール酵母を8週間継続摂取することにより血液中リン脂質、LDLコレステロールの有意な低下が認められるなど、乾燥ビ ール酵母の脂質代謝改善効果を強く示唆する知見が得られている。

■【ビール酵母の肥満予防作用には、その細胞壁に含まれる酵母マンナンが活性成分として大きく貢献しており、酵母マンナンが血液中のインシュリン濃度を適正に保つことで、体脂肪の過剰な蓄積を抑えることが示唆されている。】

【ビール酵母の肥満予防効果には、血液中のインシュリン濃度を適正に保つ働きが関わっていることが示唆されている。さらにビール酵母を与えたマウスでは腸内の乳酸菌数が増加していることから、ビール酵母そのものだけでなく、増加した乳酸菌が体脂肪蓄積に影響した可能性も考えられる。】

【ビール酵母の外側を覆う細胞壁はグルカン、マンナンと呼ばれる食物繊維を豊富に含んでおり、免疫機能を高める作用、ミネラル吸収を高める作用、整腸作用、コレステロールの排泄を促進する作用等がこれまでに報告されている。】

https://rd.asahigroup-holdings.com/research/report/12.html
https://rd.asahigroup-holdings.com/research/report/07.html