リンゴペクチンとは
リンゴペクチンや一般に含まれるペクチンは通常水溶性繊維に分類されるもので、水に混ざるとゲル状になります。そして食物繊維として熟した桃やリンゴ、小粒の干しブドウ、プラムなどに含まれ、消化器系の健康を保つのに役に立ちます。
ペクチンの含有量は通常その果物がどれだけ熟しているかによって変わってきます。熟していない状態だとペクチンはプロトペクチンという状態で存在し熟して酵素によって壊されないとペクチンにはなれません。一方で熟しすぎた場合ではペクチンはペクチン酸になります。この状態だと今度はペクチンに戻ることができません。そしてこの中間の状態である成熟している状態においてペクチンはもっとも多く含まれます。
そのペクチンに水が加わるとコロイド溶液(にかわ・でんぷん・寒天・たんぱく質などの水溶液のように、液体中に微細な粒子が分散した状態。)となります。
果物の成熟している状態、つまり酸性度が適度にある状態であるときにペクチンは多く含まれゲル化できる状態になります。このペクチンを多量に含む状態の果物を砂糖と一緒に漬け込むことでジャムやゼリーが作られます。
食品産業においてはペクチンはゲル化剤として用いられてきました。主にゲル化剤を用いる食材といえば果物をベースにしたジャムやゼリーや塗布薬(ゲル状になった塗り薬)、化学的には線状の増粘多糖類として使用されています。増粘多糖類には300から1000個の単糖類が含まれています。その単糖類のペクチンの形状はD−ガラクツロン酸(ペクチンの構成糖の大部分)です。
D−ガラクツロン酸の残留物はα1、α4グルコシドの連鎖と結合します。そしてこれらの残留物はメチルグループと共にエステル化(コレステロールがある型から別の型へと変換すること)されます。この過程においてガラクツロン酸が50%以上エステル化された場合は、このペクチンはハイメソキシルペクチン(HMペクチン)になり、50%以下だとローメチルペクチン(LMペクチン)となります。
リンゴペクチンの効果を証明する科学的裏づけ。
リンゴペクチンは難消化性の食物繊維であり腸を調整する作用があることで知られ、調合薬剤として下痢止めなどに使用されています。”一日一つのリンゴで医者いらず”としばしば言われていますがこれはリンゴに含まれるペクチンの作用ではないかという研究者もいるようです。
またリンゴペクチンはコレステロールを低下させるということが多くの研究で証明されています。ある研究ではリンゴペクチンの抗酸化作用が血中にあるコレステロールに対して働き細胞にあたえるダメージを軽減させるといわれています。研究者の中には脂肪を多く含む食品を食べる際には一緒にリンゴやリンゴジュースを摂取するべきだといっている人もいます。
日本で行われた研究ではリンゴペクチンは大腸がんのリスクを軽減させるとしています。ペクチンに含まれる水溶性繊維、不溶性繊維の働きによって腸管を掃除し、機能を維持するのを助け、大腸内の酸性度を増加させ消化を助けるだけではなく、潰瘍や大腸炎の症状を軽減させるためにも利用できるとしています。
他にもペクチンは胆石ができるのを抑制、予防する作用、血圧を正常化させる作用、糖尿病の症状を減少させる(インスリン抵抗性を減少させる)、体内にある不要な金属類や毒物(O−157などの感染性の大腸菌)を除去したり、放射線治療を副作用を軽減させるのに役立つ可能性があることが研究者によって言われています。
茨城県筑波にある農業研究所で行われた研究によると一日にひとつのリンゴを食べた人はアレルギーを防ぐことができたといわれています。国立農業研究機構に属する国立科学果樹研究所の研究者たちは14人の男女は一日に8.4gのリンゴペクチン(リンゴ6個分)を三週間にわたって摂取したところ、14人中11人が血中ヒスタミン(たんぱく質が分解して生じるアミノ酸の一種;体内にたまるとアレルギーを起こす)濃度が低下しました。そのうち5人はヒスタミンレベルを半分にまで抑えることができたとされています。実験後リンゴペクチンの摂取を終了するとヒスタミン濃度は以前の値に戻ったそうです。
誰にとって必要か、欠乏症になるとどうなるか?
誰もがリンゴペクチンの効果を得ることができるでしょう。ただし、必須の栄養素ではないので必ずしも摂取しなければいけないものではないですし、欠乏症に陥ることもありません。心配な場合はかかりつけの医師か薬剤師に相談すると良いでしょう。
どれくらい摂取すればよいか、副作用はあるか?
リンゴペクチンの摂取量についてはまだ厳密に指定されていませんがある研究では一日に通常10〜15gの摂取をすることで高血圧の症状を軽減させることができたといわれています。リンゴペクチンを摂取する際にはたくさんの流動物(水分など)と一緒に摂取することがすすめられています。
リンゴペクチンは亜鉛、銅、鉄、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルと一緒に摂取した場合、ミネラルの吸収を悪くする可能性があると言われています。また人によってはおならが出たり、ガスが溜まったようになったり、腹痛、下痢などの胃腸症状がでる可能性もあるといわれています。