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●アロスタシスとホメオスタシス

・アロスタシス(allostasis、動的適応能)とは、変化することで体内環境の安定性(ホメオスタシス)を維持することを意味し、急性のストレスに対し適応していくプロセスを説明する概念として用いられる。

・アロスタティックロード(allostatic load)とは、その急性ストレスに機能するアロスタシスを制限する因子であり、この負荷が過剰な場合に病気などの不適応がおこると考えられる。

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正の面(運動適応)は運動ストレスに対してアロスタシス機構が働いた結果もたらされるものであり、負の面(不適応)はアロスタシス機構を妨害するアロスタティックロードが増大し、身体諸機能が破綻した結果もたらされる。

●ストレス反応とアロスタティックロードの進行

ストレスの受容は個人の経験、遺伝、そして行動によって影響を受ける。脳がある体験をストレスとして受容したとき、生体反応と対処行動が引き起こされ、アロスタシスを誘発し、適応にいたる。

これらの機能の許容能を超過した場合、アロスタティックロードは蓄積し、神経、内分泌、免疫性ストレスの過剰曝露は、様々な組織に対して逆の作用をもたらし、病気に至る。

●アロスタシスからみるトレーニング効果

適応状態
・筋肥大
・糖、脂質の貯蔵型エネルギーの増加
・同化作用>異化作用
・運動に対する生体負担度の減少
・ACTH分泌の減弱(筋肉からの求心性入力のの減少?、負のフィードバック抑制?、コルチゾールに対する感受性増加?)
・血中コルチゾールの一時的上昇
・副腎皮質の一時的肥大

不適応状態
・超回復の欠如による筋力低下
・同化作用<異化作用
・運動に対する生体負担度の上昇
・ACTH分泌の減弱(筋力低下による求心性入力の増加?、HPA軸(視床下部・下垂体・副腎系[軸])による負のフィードバック増加)
・血中コルチゾールの慢性的増加
・副腎皮質の慢性的肥大

「運動とストレス科学」より


●これと似たようなもので、暑熱や寒冷環境(暑さや寒さ)、他の環境因子に対して恒常性機能(ホメオスタシス)が促進するのを正の交叉適応(positive cross adaptation)、減弱する場合は負の交叉適応(negative cross adaptation)と言う。

・寒冷順化は暑熱への体温調節機能を低下させる(クーラー病)が、暑熱順化は寒冷に対する体温調節機能に影響しない。

・低酸素順化は運動耐性を上げる(高地トレーニング)

・運動トレーニングは低酸素耐性を上げる。

・過食、運動トレーニングは寒冷適応能を促進させる(やり過ぎ注意)。

・暑熱順化は低酸素耐性を上げる。

・寒冷順化は寒冷下で運動時の体温維持機能を低下させる。

などがある。

『運動とストレス科学』


 
 
 
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