・単胞性の脂肪滴を有する白色脂肪細胞はエネルギー過剰時に余剰エネルギーを中性脂肪として蓄積し、全身のエネルギー要求性が高まった際には、中性脂肪を分解し、脂肪酸とグリセロールというエネルギー基質として全身に供給する役割を担っている。
・ベージュ脂肪細胞、褐色脂肪細胞は多胞性の脂肪滴を有し、ミトコンドリア内膜上に存在するプロトンチャネル,脱共役タンパク質 1(UCP1)の機能を介して高い熱産生能を有する脂肪細胞である。
【寒冷刺激時には、交感神経活動の亢進に伴い、脂肪組織においてノルアドレナリン量が増加し、褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞の β- アドレナリン受容体の活性化が惹起され、UCP1 発現・活性が増加し、熱産生機能が亢進することが明らかにされている。】
『食品成分による褐色脂肪組織機能亢進作用を介した熱産生機構』 35-P98.pdf
Control of brown and beige fat development. Nat Rev Mol Cell Biol. 17:691-702.
Transcriptional and epigenetic control of brown and beige adipose cell fate and function. Nat Rev Mol Cell Biol. 17: 480-495.
・ヒトではBAT(brown adipose tissue; BAT)活性が高いほど加齢に伴う脂肪蓄積が起こりにくいので、BATの活性化を繰り返し行えば肥満を軽減できる可能性がある。
Activation and recruitment of brown adipose tissue as anti-obesity regimens in humans
■如何にしてベージュ脂肪細胞を活性化させるか?
ベージュ脂肪細胞を活性化させるのが
@気圧病のところでも出てきた、温度センサーtransient receptor potential(TRP)。特にその中の、TRPV1 、TRPM、TRPA1。
作用機序は、TRPV1 →迷走神経→脳→交感神経亢進→ BATの経路を活性化。
・TRPV1を活性化作用を示す食品成分には、
唐辛子中のカプサイシンやカプシノイド、黒コショウ中のピペリン、ショウガ中のショウガオール,ジンゲロー、ルエクストラバージンオリーブオイル中のオリウロペイン、EPAやDHA、食餌由来不飽和脂肪酸の腸内細菌代謝産物など。
・TRPM8活性化作用を有するミントに含まれるメントール。
・ TRPA1活性化作用を有する緑茶中のカテキン類、ワサビ中のアリルイソチオシアネート、ニンニク、タマネギ中のアリシンなど。
Capsaicin and Related Food Ingredients Reducing Body Fat Through the Activation of TRP and Brown Fat Thermogenesis. Adv Food Nutr Res. 76: 1-28.
Fish oil intake induces UCP1 upregulation in brown and white adipose tissue via the sympathetic nervous system. Sci Rep. 5: 18013.
10-oxo-12(Z)-octadecenoic acid, a linoleic acid metabolite produced by gut lactic acid bacteria,enhances energy metabolism by activation ofTRPV1. FASEB J. 31: 5036-5048.
Involvement of thermosensitive TRP channels in energy metabolism. J Physiol Sci. 67:549-560.
Tea catechin and caffeine activate brown adipose tissue and increase cold-in-duced thermogenic capacity in humans. Am J ClinNutr. 105: 873-881.
つづく(BATをトレーニングで活性化させる方法。)