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PGC-1α:朝日、朝食と時計遺伝子

時計遺伝子とエネルギー代謝の相互作用の機構は、細胞の中の様々な要素を介して行われるが、その中でも重要だと考えられているのがPGC-1αというタンパク質である。

※ PGC-1(Peroxisome Proliferative activated receptor, gamma, coactivator-1 (PPARGC1): ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体ガンマ共同因子1)

PGC-1はエネルギー代謝と給餌性リズムの時間遺伝子を統括し、共活性化因子として一人で何役もこなして多くの遺伝子情報の発現を活性化させる。

時計遺伝子としての働きは

●朝日の情報を受けて視交叉上核(suprachiasmatic nucleus: SCN)にある主時計遺伝子が活性化される。

●主時計遺伝子は交感神経を介して、肝臓の抹消時計遺伝子のPER1、PER2などの遺伝子活性を高める。→BMAL1/CLOCKによる転写活性化を抑制

PGC-1αは、交感神経のノルアドレナリンを介して生じるcAMP、甲状腺ホルモン、インスリン感受性、覚醒、エネルギー代謝の調節に深くかかわっているのだが、朝日と共に大きなシグナルとなる因子が「朝食」である。



朝食を取らないと以下のような弊害が起こる。

●時計遺伝子の活性が低くなる
●給餌性リズムの乱れはPGC-1αを通して運動能力を低下させ、肥満の原因となる。
●PGC-1α遺伝子を取り除いたマウスでは、代謝や体温の日周リズムが失われる。Liu C,Li Sら

体内時計のリセット、エネルギー代謝の調節において朝食は非常に重要である。

また大豆油やオリーブ油を経口注入しただけ場合では体内時計は動かなかったそうなので、炭水化物やタンパク質を摂取したほうが良いかもしれない。内容や種類、比率は不明。

量はマウスにおいて自由摂食で6グラム取っていたものを、1/12まで減らしても体内時計の進み具合に変化はなかった。





参考
『時間栄養学』日本栄養・食糧学会



PGC-1α:筋肉とエネルギー代謝

筋肉やエネルギー代謝に着目すると

●培養細胞を用いた実験でGLUT4 mRNA発現増加に関与することが明らかにされている。
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●PGC-1αトランスジェニックマウスでは、ミトコンドリアの増加と、筋肉の遅筋化が認められGLUT4の発現量は低下していた。人工的に骨格筋にPGC-1α量を長時間、大量に増やすと、ミトコンドリアは増加するが、GLUT4の発現量は増加せず、糖の代謝を活発にはしない。Miura S, Kai Y, Ono M, Ezaki Oら


●トレーニングによるPGC-1の調節、PGC-1は筋機能とインスリン感受性に影響を与える。調節運動によって筋肉における発現量が増加する。Lira VA, Benton CR, Yan Z, Bonen A.ら

●PGC-1αの発現増加は筋萎縮の際のエネルギー代謝に関与するmRNAの発現を減少させる。
M Sandri, J Lin, C Handschin, W Yangら

●PGC-1α をノックアウトしたマウスの骨格筋-すい臓β細胞のクロストーク(信号伝達物質中の成分が生体中の条件により、異なる伝送経路と応答に分配する現象)において、糖能ホメオスタシスの異常が示された。
Christoph Handschin,Cheol Soo Choiら

●PGC-1αは不使用によって生じる筋萎縮を遅らせる
Handschin C, Chin S, Li Pら

●一酸化窒素(NO)が、PGC-1αのアップレギュレートを通して、骨格筋細胞におけるミトコンドリア発生を誘発する。またNOとAMPKは共同的に筋細胞中のPGC-1αの働きを調節している。Lira VA, Brown DL, Lira AK, Kavazis ANら

●エネルギー欠乏状態になるとAMPKが活性化されPGC-1が誘導される。誘導されたPGC-1はミトコンドリアを活性化させ、エネルギー産生効率を高める。

などが挙げられる。

 
 
 
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